認知症は身近な病気です。看護師にとっては日常と言ってもいい位です。患者さんが同じことを繰り返し訴える、状況を把握できない、物忘れがヒドい、等が代表的な症状でしょう。

認知症は様々な病態があり、脳血管性痴呆、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、ピック病など様々です。特に、若年発症・進行型の認知症は、家族や社会とのつながりを含めたアプローチが必要な難しい看護です。

認知症患者さんへの看護力アップのため看護師が出来ることを考えてみましょう。

認知症看護は大変な労力!夜勤看護師もヘトヘト

認知症の患者さんの看護は時に大変な労力が必要です。介護・看護する側の体力、忍耐力が無ければケアできません。

具体的には、何回説明しても同じことを繰り返し聞いてこられる、安静度を守ってもらえない、といったケースです。

ご飯を食べさせてもらっていない、ご飯を早く持ってきて、お腹がすいて死にそう、とナースコールを頻繁に押される。看護師さんはそのたびにベッドサイドに行って「さっき食べたばかりですよ」「次は夕方の6時に準備しますから待ってください」となだめながら説明するでしょう。一旦は納得したように見えても、すぐ同じことが繰り返されます。

病院に持ってきていないはずの財布を「無い!盗まれた」と夜中に騒ぎ出されたりすることもあります。大部屋では同室患者さんから眠れない、と苦情を受けて対応し、事情を説明する必要が発生します。また、本当に持ってきていなかったのか、家族に電話連絡し確認する手間も発生しますね。

どちらのケースも、看護師の「やれやれ、面倒くさい」「またか!いい加減にしてよ」「忙しいから早く話を切り上げたい」という思いは表情、声のトーンで相手にすぐ察知されます。話をいい加減に聞いている、と感じさせると状況は悪化するばかりです。

認知症の患者さんに上手に接して、的確な対応ができる看護師になりたいですよね。

認知症認定看護師はハードルが高い?看護師が出来ることは

看護師さんが認知症患者さんをより理解するために出来ることは、経験する事と学ぶことです。看護は「実践の科学」と呼ばれるように、看護実践が学びのベースになります。

経験は日々の看護業務の積み重ねです。認知症患者さんについてより深く学ぶための代表的な方法は、認知症認定看護師を目指すことだと思います。

認知症認定看護師とは?役割は?なるには?認知症認定看護師とは?役割は?なるには?

認知症認定看護師は、自分自身の看護実践能力向上ということ以上に、所属する組織全体にリーダーシップを発揮するエキスパートナースです。

認知症認定看護師の資格取得には、かなり厳しい要件があり、一定以上の看護経験も必要です。経験の浅い看護師さんが「認知症患者さんに上手に対応できるようになりたいな」、という要望に叶う資格ではなさそうです。

認知症認定看護師を目指すのはハードルが高すぎる、でも認知症患者さんへの対応について学びたい!という看護師さんにおすすめの資格をご紹介します。認知症ケア専門士です。

認知症ケア専門士はより実践的なケアについて学べる

認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定している資格です。

「認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し, わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的として設立」(※ http://184.73.219.23/d_care/senmonsi/Ssenmonsi.htm 認知症ケア専門士公式サイトより引用)

認知症ケア専門士のポイントは、認知症患者に関わる業種ならだれでも受験できることです。職種や職務内容は、認知症患者さん、利用者さんのケアに関わっている限り問われません。

基礎として看護師、准看護師の資格が要らないなら簡単そう!と思われましたか?または、病院で働いているから、看護師の資格があるから認知症患者さんへの対応がスムーズに出来る、という認識は間違いです。

経験が浅い看護師さんより、認知症グループホームで働くヘルパーさんの方が、認知症患者さんに寄り添うケアが上手、信頼を集めている、という例は珍しくありません。認知症ケア専門士は、認知症患者さんとの関りという、実践的な知識に踏み込んでいると言えるでしょう。

看護師が認知症ケア専門士になるためには

勉強する看護師のイメージ認知症ケア認定士の資格取得までの流れを追っていきましょう。

まず、受験資格は「認知症ケアに関する施設、団体、機関等において3年以上の認知症ケアの実務経験を有するもの」で実務経験の時期は2007年4月1日以降の3年間です。3年間の実務経験は職場に証明書を発行してもらう必要があるようです。

試験の分野は4つに分かれています。

  1. 認知症ケアの基礎
  2. 認知症ケアの実際Ⅰ:総論
  3. 認知症ケアの実際Ⅱ:各論
  4. 認知症ケアにおける社会資源

各分野の講義を受け、1次試験を受験します。「認知症ケア標準テキスト」の内容に基づいた講義内容、試験となります。看護師さんは④社会資源について知らない事が多い傾向にあります。①~④全て合格した人のみ2次試験に進むことが出来ます。

2次試験は「論述」と「面接」で構成されています。論述・面接の総合評価により、5つの要件を満たした人が合格となります。5つの要件とは、

  1. 適切なアセスメントの視点を有している
  2. 認知症を理解している
  3. 適切な介護計画を立てられる
  4. 制度および社会資源を理解している
  5. 認知症の人の倫理的課題を理解している

1次試験と2次試験は別日に行われます。講義を受けて、知識レベルチャックの試験を受けるだけではなく、2次試験が設けられているため、正しく確実な知識がないと合格は難しいでしょう。

1次試験、2次試験とも所要日数は1日です、長期間仕事を休む必要が無いので、看護師も受験しやすい資格です。

看護師が認知症ケア専門士になるメリットは

認知症ケア専門士は、医療従事者以外でも取れる資格です。看護師さんが認知症ケア専門士になるメリットはあるのでしょうか?

資格取得が就職に有利に働くのか?は興味のあるポイントです。

認知症ケア専門士は、学会の民間資格であり、日本看護協会認定資格ではありません。看護師さんの再就職や転職にどの程度有利に働くかは、分からないのが実情です。

認知症看護に強い関心を持って、いずれは認知症認定看護師になりたい!と考えている看護師さんは、知識習得の第一歩として受験する意味は大きいと考えています。また、介護士、介護福祉士、ケアマネージャー、社会福祉士など介護に関わる他業種と働く看護師さんは、知識の標準化を図り、コミュニケーションを円滑にすることができるでしょう。

何よりも、日々の看護業務で認知症患者さんへの対応がスムーズになることは、患者さんにとってもメリットが大きいのです。ケアの質がグンとアップすること間違いなしです。

認知症ケア専門士の需要は高まっている、その理由とは

認知症と共に生きる人が増加の一途をたどっている現在、認知症に関する正しい知識を持つ専門職の数を増やしていく必要があります。認知症ケア専門士の需要は高まっていると言えるでしょう。

認知症患者さんの増加。医療制度改革による、在院日数の短縮。入所型介護施設の不足。在宅化の推進。これらの要因から「地域で支える社会」を作り上げることが課題になっています。

看護師さんが医療の知識と並行して、認知症ケアの知識を持っていれば、社会にとってこれほど心強いことはありません。認知症ケア標準テキストを読み進めていくと、看護師さんも「知らなかった!」「そうだったんだ」と始めて知ることに遭遇できると思います。

まとめ

看護師さんの中には「認知症ケア専門士」という資格を始めて知った方もおられると思います。

認知症認定看護師はハードルが高すぎるけど、認知症についてもっと勉強したい、と思っている看護師さんは、ぜひ認知症ケア専門士を目指して欲しいのです。

認知症と共に生きる人はますます増えていきます、認知症についての知識を深めることはきっと看護師さんの役に立つと思います。

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