認知症認定看護師は必要とされている、認知症認定看護師になるには?

人間がある程度の年齢に達し、認知症と共に生きることは今や普通の世の中となっています。

看護師にとっても、認知症の患者・利用者様との関わりは日常的です。小児科、周産期、美容整形などの特殊分野を除いて、ほぼすべての分野で関わりがあるといっても間違いないでしょう。認知症の患者・利用者様が一人もいない現場を探す方が難しいです。日々の看護で、認知症患者さんへの対応に苦労した経験は誰しもあると思います。

認知症についての深い知識を積み重ね、現場への教育を実践するリーダーを担うのが、認知症認定看護師です。

この記事では、認知症認定看護師の役割、認定資格の取り方、注意する点について解説していきます。認知症認定看護師って何?と疑問に思っている方、認定看護師を目指したい方認知症ケアに興味がある方、そんな看護師さんに読んでいただきたい記事です。

認知症とは何か?実は解明されていない認知症のメカニズム

”認知症とは何か?”

この記事を読んでいる看護師の皆さんは、パッと答えることが出来ますか?加齢による記憶力の低下、判断力の低下、脳の機能の低下、どれも正しくありません。

認知症、という病名を構成している「認知」の定義を解説するだけで、この記事の範囲には収まりきらないほど難しいのです。「症」は症候群、の意味です。

実は、認知症が起こるメカニズムは、医学的に完全に解明されていません。研究中の疾患であり、明確な治療法も確立されていないのです。

かつては痴呆症と言われていた

現在は、痴呆症は認知症と置き換えられ、「痴呆症」という言葉は差別用語として事実上タブー化しています。日本老年医学会が「『痴呆』という言葉が差別的である」と問題提起して、厚生省がWEBページ等を使い意見を募り、名称変更が行われました。

認知症に至る前に、「認知障害」という言葉に決まりかけましたが、従来の医学上の「認知障害」と区別するため、「認知症」という名称が使われるようになりました。つまり、言葉は置き換えられているだけで、意味としては「痴呆」の方が理解しやすく、定義の面ではこういった経緯を把握しておくことも重要ではないでしょうか?

認知症の問題点

単に記憶力が悪くなってきている、物事の良し悪し、正確な判断が出来なくなっているだけではなく、他者とのコミュニケーションに支障をきたします。「安全に楽しく生活することが出来なくなってくる」ことが問題です。人によって症状の出方が千差万別であること、他の疾患との鑑別が重要であることなど、認知症は大変難しい病態と言えます。

例えば、電解質異常、著しい徐脈、貧血、低酸素血症やCO2ナルコーシスなどの疾患で、記憶力の低下、認知症に類似する症状が現れることがあります。周囲が「年相応の認知症が出てきた」と思い込んで治療せず、手遅れになるケースがあります。逆に、治療を行えば意識状態は正常に戻っていきます。

認知症と向き合う現場看護師の悲鳴とは

認知症患者・利用者様と向き合う現場看護師からは悲鳴が聞こえてきます。

延々と続く徘徊、ケアへの抵抗、医療従事者に対する暴言や暴力、離院行動などの危険行為、盗癖や収集癖。病院や施設の決められた看護師配置数では、到底対応困難な患者・離床者様への看護に四苦八苦しています。

特に、身体障害(麻痺や変形、筋力低下など)が無く、自由に歩ける患者・利用者様の徘徊は大変です。想像を絶する看護労力を要します。ベルトなどで身体抑制することも出来ず、かといって転倒を起こされるともっと困る。というジレンマがあります。

徘徊患者から目を離してしまい、離院した。徘徊中に階段から落ちて骨折した。このようなケースは看護師個人の責任を追及されかねない事故です。

認知症患者の対応で看護師の責任になるケース

  • 徘徊する患者さんを見守るため、夜勤で全く休憩が出来ず、看護師の方が倒れそうになった
  • 身体に触れると、大声を上げて掴みかかってこられるので、看護師2人がかりでおむつ交換をしている
  • 注射する時は看護師3人がかり、手薄な時や忙しい時は業務が回らない
  • 隣のベッドに居る患者さんのご飯を食べてしまったり、床に放尿したりと問題行動が多い患者さんに苦労している
  • 家族に現状を説明しても「父はもっとシッカリしているはずです」と分かってもらえない
  • 食事介助している時に、お粥が入ったお椀を投げつけられて、看護師が火傷を負った

看護師の皆さんは、あるある、と頷かれている事でしょう。

認知症対する対処法は非常に難しく、看護労力を要します。認知症患者・利用者様が悪いわけではありませんが、日々の関りで看護師が疲弊し離職やモチベーションの低下につながっているのが現実です。

認知症看護に熟練した看護技術とリーダーシップを発揮し、患者・利用者様とそのご家族、看護師に働きかけて問題解決を図るのが、これから紹介する認知症認定看護師です。

認知症認定看護師はなぜ必要とされているのか、その理由は

認定看護師制度の目的を看護協会のホームページから抜粋しました。

「認定看護師制度は、特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上をはかることを目的としています」

認知症認定看護師は、認知症に関する熟練した看護技術で、レベルの高い看護を実践し、現場の看護師に対する教育を行い、現場の問題に対するコンサルテーションを行います。つまり、看護実践・指導・相談の3つを包括的にできる専門職なのです。

「徘徊がある認知症患者さんに徘徊を止めさせるには」「怒りっぽい認知症利用者さんへの話しかけ方」といったテクニックを発揮する看護師ではない、ということはしっかり認識して頂きたいと思います。

厚生労働省が発表した推計では、2025年には認知症患者が700万人を超える見込みです。医療機関や介護現場で働く看護師が、認知症への対応を誤らず、事故を起こさないためにも、強いリーダーシップを発揮する認知症認定看護師が必要とされているのです。

認知症認定看護師への道のりについて

2015年時点で認知症認定看護師は全国で472人と発表されています。認知症の看護実践をしたことが無いのに、認知症認定看護師を目指すことは出来ません。非認知症の方の看護を通して、さらに学びたい看護師が目指す資格です。

指定された教育機関への入学試験に合格し、教育課程を修了、認知症認定看護師の認定試験に合格して始めて認知症認定看護師と名乗れます。教育課程はおおむね6カ月間、平日昼間の講義となりますので、職場のサポートが無ければ受講は困難なことがほとんどです。

認知症認定看護師を目指している方は、教育課程の入学要件やカリキュラムをしっかりと把握しておきましょう。正確な費用については、各教育機関の資料で確認して頂きたいのですが、受講料は安くはありません

認知症認定看護師の教育機関は現在10か所です。(2017年7月現在)地域的な偏りがあるため、自宅から通学できる人は少なく、通学のため転居しなければならない人がほとんどと言われています。

認知症認定看護師の教育機関

以下は2017年7月現在の認知症認定看護師の教育機関です。

  • 北海道医療大学 認定看護師研修センター(北海道)
  • 高崎健康福祉大学看護実践開発センター(群馬県)
  • 聖路加国際大学 教育センター(東京都)
  • 神奈川県看護協会 認定看護師教育課程(神奈川県)
  • 石川県立看護大学附属看護キャリア支援センター(石川県)
  • 山梨県立大学 看護実践開発研究センター(山梨県)
  • 長野県看護大学 看護実践国際研究センター(長野県)
  • 三重県立看護大学地域交流センター(三重県)
  • 公益社団法人 兵庫県看護協会 認定看護師教育課程(兵庫県)
  • 熊本保健科学大学キャリア教育研修センター(熊本県)

いずれも定員が30名弱と狭き門となっています。各教育機関の入学要件、カリキュラム開始時期、費用等については、各教育機関にお問い合わせください。

認知症認定看護師を目指すには職場のサポートが必要

ヨシ!認知症認定看護師を目指すぞ!と奮起したとしましょう。教育機関への入学には、実践で培った知識や技術が必要なことは言うまでもありません。それと同じくらい必要なものがあります。職場の理解、資格取得へのサポートです。

あなたが教育機関に通っている半年間、職場は看護師一人欠員の状態になります。資格取得のため、休職することを了承してもらう必要があります。また、看護師の補充なしで、あなたが休職することによって、現場からは「休みが減った」「忙しくなった」と不満の声が上がるかもしれません。他の看護師に、資格取得の必要性をしっかりと納得させてくれる上司でなければ、職場内の人間関係がギクシャクしてしまうことがあります。

通学期間中は、休職することになります。その間の給与待遇についてもしっかり確認しておく必要があります。教育機関への通学は許可するが、休職期間中は給与無し、学費のサポートもしない、となると大変です。特に、通学のため一時的に転居が必要な場合の経済的負担は測り知れません。

認知症認定看護師の資格取得には、職場の理解とサポートが不可欠です。学費の一部負担や、休職中の身分確保など、どの程度支援してもらえるかを十分に話し合っておく必要があります。

認知症認定看護師は転職しやすいのか

認定看護師への道のりは、決して易しいものではなく大変な努力と忍耐が必要です。しかし、認知症認定看護師の資格を持っていることは、転職、再就職に非常に有利と言えます。認知症認定看護師を求めている医療機関、介護系施設はたくさんあります。

認知集認定看護師は、患者の生活の質と現場看護師の看護の質を向上させる専門職です。認知症患者の増加により、ますますニーズが高まっており、活躍できる場所は広がっています。

認知症認定看護師になって良かったこととは

認知症認定看護師の資格を取得し、現場で活躍している看護師さんの声を聞いてみましょう。

Q.認定資格を取ろうと思ったきっかけは?
「脳血管内科病棟で勤務して、認知症患者さんとの関りが多く、どうしたらいいのか悩むこともありました。認知症について深く勉強したいと思って、上司に相談したところ認定資格を勧められました」
Q.入学までに大変だったことは何ですか?
「過去問題を読み込んだり、疾患全般に関する勉強が大変でした。入学試験に合格してからは、他県の学校だったのでウイークリーマンションを探して契約したり、手続きが大変でした」
Q.通学中で印象に残っていることは?
「同じ資格を目指す、全国の仲間と知り合えたこと、一緒に学べたことが良かったです。職場の人間関係以外にも広がりが出来ました」
Q.認定資格を取ってから、仕事での変化はありましたか?
「今までは病棟の一スタッフでしたが、認定資格を取ってからは、病院全体の認知症患者に関するコンサルテーションを担当しています。そのため、病棟勤務以外に、フリーで動ける時間を割り当ててもらえる様になりました。やりがいがあります」
Q.認定看護師を目指す看護師さんにアドバイスをお願いします!
「認知症認定看護師は、救急看護、感染管理、皮膚排せつケア認定看護師などに比べて、地味に感じるかもしれません。でも、すごく深い知識が身について看護が楽しくなります。ぜひ、認定看護師を目指してほしいと思います」

実際に、認定看護師として活躍している方の声は貴重ですね。認定看護師としての活動は、一部署を飛び出して所属する組織全体に影響を与えます。横断的に活躍できることは、大変やりがいがあるようです。

認知症認定看護師の資格取得をサポートしてくれる職場を探そう

認知症認定看護師を目指したいけど、職場が許可してくれず困っている。休職期間中は無給と言われた。認定看護師になった後、納得いく活動が出来そうにない。こんなお悩みはありませんか?

認定看護師を目指すためには、職場の支援が不可欠です。話し合ってもサポートが得られそうにない場合は転職を考えても良いでしょう。認定看護師を目指したい看護師のやる気をサポートしてくれる職場は、認定資格を取った後の活動を保証してくれます。

各病院、施設のホームページを見ても、認定看護師へのサポート状況はよくわからない場合がほとんどです。ぜひ、看護師専門の求人サイトに登録してお仕事探しをしましょう。病院や施設の内情に精通したアドバイザーが、認定看護師の資格取得をサポートしてくれる職場を紹介してくれます。就職時にしっかりと条件の交渉をしてくれますので、安心できます。

まとめ

いかがでしたか?

認知症認定看護師の役割や、道のりについてイメージして頂けましたか?

認定看護師の分野は現在21分野。看護はますます多様化して認定分野は増えていくと見込まれます。認知症認定看護師は、比較的新しい認定分野ですが、ニーズの高まりは目覚ましいものがあります

認知症患者・利用者様が自分らしく生きられることは、希望の持てる未来に必要なことです。認知症認定看護師として活躍して下さる看護師さんが、一人でも増えて欲しいと願うばかりです。

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