あってはいけないけどよくある 針刺し事故の原因と予防と対策

看護師が怖いものは、先輩からのイジメ、レポート作成、休みの日の勉強会参加などいろいろあります。

最も怖いのは、看護業務中の針刺し事故です。

針刺し事故防止、誤穿刺予防機能が付いた注射針や、注射針を使用せずに薬剤生成できるプレフィルドシリンジなどが発売されていますが、針刺し事故は無くなりません。

この記事では、針刺し事故を起こしやすい状況と、起こしてしまった時の対応について解説しています。読みやすい記事ですので、ぜひ最後まで目を通して下さい。

針刺し事故を起こしやすい、翼状針の取り扱い

翼状針静脈注射、採血時に翼状針は大変便利です。

穿刺の時の針の動揺が少なく、穿刺してからも固定が容易で、普通の針に比べて、刺しやすく漏れにくい優れものです。

その反面、針刺し事故のリスクが高い製品でもあります。使ったことがある看護師さんは、心当たりがあると思いますが、シリンジ(注射器)と接続する部分から針までのチューブは柔らかく、ブラブラしやすいため、抜針(抜いた後の針)が跳ね返って看護師に刺さりやすいのです。

最近は、針刺し事故防止機能付きの翼状針が発売されています。ただし、これ他の商品は普通の翼状針に比べて高価であり、コスト節約のため普通の翼状針を採用しているクリニック、病院はたくさんあります。普通の翼状針でも単価70円/本位します。

普通の翼状針にリキャップすることは絶対に止めましょう。特に針刺し事故が起こりやすいと言われています。

針刺し事故を起こしやすい、末梢血管留置針

持続点滴、血管外漏出(点滴漏れ)すると、組織障害が起こりやすい薬剤の投与時に末梢静脈路確保が行われます。

柔らかい外筒と、金属の内筒からなり、穿刺後に外筒だけを留置して内筒は抜去します。問題は、抜去した後の内筒の取り扱いです。手元に医療廃棄物BOXを置いて、抜去直後に廃棄するのが理想です。

抜去して直ぐに廃棄せず、後片付けの時に針刺し事故を起こしてしまうことが多いのです。なぜ、直ぐに廃棄しない原因としては、留置針を固定するためには両手を使う必要があり、直ぐに固定しないとせっかく入れた外筒が抜けてしまうからなのです。

誤穿刺予防機能が付いていない留置針は、抜去直後に医療廃棄BOXに廃棄したほうが良さそうです。穿刺、固定に自信がない看護師さんは、2人で作業することをおすすめします。固定を他の看護師さんにお願いすれば、針刺し事故の危険性は減少します。

針刺し事故を起こしやすい、シリンジ採血

採血検査の方法は、シリンジ採血と真空管採血の2種類があります。シリンジ採血とは、注射器に針を付けて行う採血の事です。

真空管採血は、看採血した後スピッツに血液を移す作業がないため、針刺し事故のリスク少ないと言われています。病院によってはシリンジ採血を禁止しているところもあります。

では、なぜいまだにシリンジ採血が行われているのでしょうか?

血圧が極めて低い患者さん、血管が細い患者さんは真空管採血では、必要量の血液が取れないことが多く、シリンジ採血の方がスムーズなのです。慣れもあり年配の看護師さんは、真空管採血が苦手という方が少なくありません。

シリンジ採血は、採取した血液をスピッツに移す作業で針刺し事故が起こりやすい傾向にあります。出来る限り真空管採血を行った方が良さそうです。

針刺し事故を起こしやすい、急変時対応、心肺蘇生の現場

患者さんが心停止した、心室細動を起こした、呼吸が止まった。急変時対応、心肺蘇生の現場です。

緊急で末梢静脈路を確保し、カテコラミンを投与したり、輸液製剤を作成したり、注射針を使います。急変時対応に慣れていない場合は、複数の医師や看護師が関って、針が確実に処理されたか分からない状態になることも想定されます。

急変時対応時に使った針をきちんとカウント出来れば良いのですが、混乱した現場では不可能なこともあるようです。後片づけで針刺し事故を起こす危険性があります。

急変時対応に備えて、カテコラミン製剤はあらかじめシリンジにセットされた商品を採用しておくと、アンプルを切って薬剤生成する必要がなく、針刺し事故の危険性をより少なくできます。このような商品をプレフィルドシリンジと言います。

日ごろから急変時処置、心肺蘇生のシュミレーションを実施し、針の取り扱いについてスタッフ間で意思統一をしておきましょう。

針刺し事故を起こしやすい、在宅での注射

針刺し事故が起こるのはクリニック、病院だけとは限りません。

意外な落とし穴は、在宅医療と訪問看護です。しかも、看護師が実施する注射だけとは限りません。

例えば、CVポートから高カロリー輸液を実施している患者さんは、穿刺は訪問看護師が実施し、抜針は本人やご家族が行うことがあります。問題は針の処理です。突き通りやすい容器への廃棄、ビニール袋への回収で針刺し事故が起こる危険があります。

実際に、インスリン注射をしている患者さんが使用後針を紙袋とビニールに回収していて、看護師が針刺し事故を起こした例もあります。糖尿病患者さんは視力が悪いことも多く、針が床に落ちていたりする危険もあります。念入りな教育が必要と言えます。

在宅での静脈注射は、設備が整っていない上に、使用後の針はその場で廃棄できず、持ち帰る必要があるためより慎重さが求められます

針刺し事故を起こしたら、看護師も直後に採血すること

針刺し事故を起こしてしまったら、絶対すべきこと。これはかなり重要です。

水道水での洗浄、血液を絞り出すようにして洗う、患者さんの感染症確認、上司や施設への報告、これは当たり前です。

針刺し事故をした自分の採血をしてもらうこと、これは絶対です。一般的な採血項目、肝機能、B型肝炎ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス交抗体、梅毒抗体は最低検査しておいてください。

クリニック、訪問看護などの勤務先で「今日はしなくても良い」と言われたとしたら、自費でもやっておくべきです。費用については後日勤務先と交渉すればよいからです。

なぜなら、万が一患者さんからの感染があっても肝炎・梅毒抗体がプラスになり、感染が分かるのが次の職員検診である危険性があるからです。そうなれば、針刺し事故が原因の感染であることが証明されず、労働災害に認定されず看護師自身が不利になってしまいます。

抗体プラスになるだけでなく、肝炎発症しても「針刺し事故が原因かは分からない」と言われてしまえばそれまでです。治療費の助成もないままになってしまう恐れがあります。

針刺し事故を起こしたら、出来るだけ早く自分の採血検査をしましょう。

針刺し事故における報告の重要性を知って欲しい

針刺し事故は、直ぐに報告しましょう。

上司に報告するのはもちろんですが、信頼できる医師、先輩にも報告しましょう。そして起こしたことを記録しておきましょう。

転職した後に、針刺し事故による被害が出た場合は、その当時勤務していた施設が責任を負います。退職した看護師には責任を持たないと言われないように、きっちり記録を残しておくべきです。

そのために、直属の上司以外への報告は絶対必要です。

まとめ

看護師である以上、全く針を取り扱わない仕事だけを担当するのは難しいでしょう。

怖い針刺し事故は、おこりやすい状況を知っておくこと、起こした時の対応を誤らないことが重要です。この記事を読まれている看護師さんの働く施設は、

  • 針刺し事故防止の取り組みを日常的に行っていますか?
  • 針刺し事故予防のための製品を採用してくれていますか?
  • 報告体制は整っていますか?

を確認してみて下さい。

安心して働くために、針刺し事故への知識を深めていきましょう。

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