看護学生、その他医療系の学生さん。

臨床検査の授業や国家試験問題で、「血沈検査」「血沈」というワードが出てきて困っていませんか?

「血沈って何?」
「患者さんのカルテ見ても、やっている人を見たことが無い」
「血沈検査の説明を呼んでも意味が分からない」

この記事では、何のことか分かりにくい「血沈検査」について解説していきます。血沈検査の意味、血沈検査の必要物品、なぜ最近実施されなくなったのか、など読むとギモンが解決する内容となっています。

ぜひ最後まで読んで参考にして下さい。

国家試験にも出てくる血沈、どんな検査かイメージしにくい

血沈の正式名称は、赤血球沈降速度です。

血沈検査の計測値は、1時間値〇〇mm、2時間値〇〇mm(診療科によっては30分値もあり)と表されます。

他の検査値とは決定的に違いますね。赤血球・白血球・ヘモグロビン値、生化学の値は全て「数」として表記されます。血沈検査はなぜか「距離・長さ」で表されるのです。血液検査なのに、計測値が「mm」という長さ、という不思議な検査です。

垂直方向にセットした専用の血沈棒の中を、赤血球が沈んでいく様子を測定する検査です。血沈棒には、物差しと同じように目盛りが刻まれています。

検査用の試薬を混入した血液を血沈棒に入れて放置すると、透明な血漿部分と赤い血球部分に分離してきます。液面から血球部分までの長さを血沈の値とします。

病棟で行う血沈検査は、血沈棒の目盛りで看護師が見て確認した値ということになります。

血沈検査で分かる事とは、臨床的意義とは

検査

血沈検査の基準値、基準値を超えた場合に考えられる病態を見てみましょう。
(以下 http://www.jrcla.or.jp/atoz/rexm/rexm_02_02.html 一般社団法人日本衛星検査所協会公式ホームページより)

男性で一時間に10mm以内、女性では15mm以内が基準とされています。最低値は特に定められてはいませんが、極端に数値が低い場合(一時間に1~2mmなど)には多血症やフィブリノゲンの低下が考えられます。

基準値を超えた場合(赤沈速度が速い場合)には、結核などの感染症、リウマチ・膠原病などの慢性の炎症、貧血、白血病、悪性腫瘍、肝疾患などの存在が考えられます。逆に数値が低い場合には、多血症などが考えられます。

血沈検査で異常値が確認された場合は、これらの病気の可能性がある、ということです。血沈検査が診断の決め手となる訳ではなく、その後行うべき検査内容を決定する指標になります。

具体的には、悪性腫瘍の疑いがあれば腫瘍マーカーの採血検査を行う。結核の疑いが濃厚であれば、胸部レントゲンと、喀痰抗酸菌検査を至急で行う。リウマチの疑いがあれば、症状をよく観察しリウマチ因子の血液検査を行う。といった例が挙げられます。

看護師でも血沈検査をしたことが無い人が増えている

20年くらい前までは、早朝採血の後、各病棟で「血沈棒」が立っている光景が普通でした。

経験年数20年未満の看護師さんは「血沈棒って何?」「立てるってどういうこと?」と疑問だらけだと思います。
看護師さんでも血沈検査をしたこと、見たことをない人が増えているのです。最近は、血沈検査のオーダーが出ても、検体検査室で実施することがほとんどの様です。

看護師さんの経験年数を知りたい時は、「血沈検査ってやったことありますか」と聞いてみると良いでしょう。「当然よ!」と答えた看護師さんはかなりのベテランでしょう。

血沈検査の依頼が少なくなった理由とは

看護師さん、医療系専門職の学生さんの中には、血沈検査を実施した患者さん自体見たことが無い、という人が少なくありません。臨床現場で、医師から血沈検査の依頼が出されることは少なくなっています。

血沈検査の依頼が少なくなった理由を解説していきます。

炎症所見を反映する生化学検査の迅速性が増した

血沈検査は、1時間値、2時間値を血沈棒の目盛りを目視確認し、計測します。血沈が亢進した状態は、主に炎症や感染の指標として扱われています。

最近は、生化学検査の迅速性や、至急でできる検査の種類も増えています。炎症所見は白血球の数や、CRP値(C反応性たんぱく質)の上昇ですぐに確認できるようになってきました。

昔は、生化学検査の結果にかなり時間がかかっていたこと、できる項目に限りがあったことから、血沈検査値を見てから、生化学検査をオーダーすることもあったのです。

血球計算が迅速に出来るようになった

昔は、血球計算値を測定するにも時間がかかったため、血沈検査を実施して「貧血かも」「白血球高いかも、感染かな」と診断指標にしてきました。

赤血球、白血球、血小板などの数、分画は数分で計測できるようになっています。このため、貧血の有無、感染兆候、異常なリンパ球の有無などが迅速に分かるようになっています。血沈検査の値を待つまでに詳しい検査結果が出るのです。

病棟での血沈検査は血液暴露の危険が高い

血沈検査を病棟で実施する行程は、かなり血液暴露の危険性が高い手技です。

血液を専用シリンジまたは、検査試薬の抗凝固剤を吸ったシリンジに吸引します。一度検体容器に入れた血液は使用できないため、真空管採血では血沈検査用の血液は採取できません。

ガラス製の血沈棒の底部分に専用のゴムを取り付け、血沈棒立てに垂直にセットします。ゴム部分に直接針を刺し、血沈棒内に血液を充填させます。このとき、血沈棒とゴムの接続が緩いと、血液が横漏れし、周囲を汚染します。検査後は、血沈棒からゴムを外し、血液を汚水槽に流します。血沈棒とゴムを洗浄し、乾燥させます。

一連の作業は、検体取り扱い時の針刺し、飛び散った血液を浴びる可能性が高い作業と言えます。血沈検査をしなくても生化学検査などで病態把握できるのであれば、なるべく避けたい検査といえるでしょう。

血沈検査をする意味があるのか、実はあります

ここまでを見ると、血沈検査は意味がないものに思えてきます。しかし、そんなことはありません。

日常初期診断の補助としての血沈検査には意義があるのです。
迅速に生化学検査の結果を出すことが出来ない、小規模なクリニックでは初期診断の補助として行われています。各部の炎症、感染症を疑うとき、有効な検査と言えるでしょう。

かなり以前から行われている検査です。臨床的意義をしっかり理解しておきましょう。

血沈検査について覚えておきたいことのまとめ

検査2

  • 血沈が亢進している時、低下している時に考えられる疾患。これは国家試験対策として暗記しておきましょう
  • 血沈は、赤血球が沈下する速度を表している
  • 血沈の値は、mmで表示される
  • 血沈は、単独では確定診断にならない。他の検査をする指標になる
  • 血沈検査を看護師が行う場合は、針刺し事故や血液暴露が起こりやすく、注意が必要である

試験問題で間違えやすいのは「貧血の時は血沈が遅延する」を正解、としてしまうパターンです。赤血球が少ない状態なら、血沈が速く沈むはずがない、液面は少ししか下がらないはずだ、と考える学生さんが多い様です。これは間違いで、貧血の時は「血沈が軽度亢進する」が正解ですよ。

まとめ

いかがでしたか?

ちょっと分かりにくく、イメージしにくい「血沈検査」「血沈」について分かって頂けましたか?最近ではあまり実施されなくなった検査ですが、臨床検査関連の試験や、国家試験には登場してきます。覚えておきたいことのまとめ、をしっかり押さえておけば大丈夫ですよ。

看護師の皆さんも、血沈検査って何だっけ?とならないよう、ちょっと覚えておくとよいでしょう。