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私は看護師のはずなのに、
介護士さんと同じような仕事をしていて良いのか?
介護施設で看護師として働く意味が分からない!
介護士、ヘルパーでできる仕事なら
看護師はいらないのでは?
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このように、介護施設で働きながら、看護師らしく働けていないのでは?と悩んでいる看護師さんは少なくないようです。
今回はそんな看護師さんに、介護施設で看護師らしくイキイキと働いてもらいたい、という思いを込めて記事を書きました。
介護施設における看護師の必要性、働く意味について考えてみました。
ぜひ最後までお付き合下さい。
介護現場に看護師が必要とされる理由とは
介護現場に看護師が必要な理由は、特別養護老人ホームの様に看護師常駐が義務つけられているから、というだけではありません。
看護師が必要とされている理由を掘り下げて考えていきましょう。
介護施設や在宅介護などの介護現場で「介護だけが必要、医療は全く必要ない利用者さん」はどれくらいいると思いますか?
介護現場で働く看護師さんなら即答できると思います。ほとんどいませんね。
どんな利用者さんも、何かしらの疾患があり定期的な通院、往診、服薬治療を受けています。
気管切開後、胃瘻増設後、心臓ペースメーカー装着後、人工肛門増設後など継続したケアが必要な方もたくさんいます。
国の医療政策は「入院日数短縮」「在宅推進」です。
少し前なら慢性期病棟に長期入院できていた要介護高齢者は、在宅復帰は施設入所を余儀なくされています。
介護現場で看護師が必要とされる理由をピックアップしてみました。
- 介護現場に医療的処置が必要な利用者さんが増加している
- 介護現場と医療機関の連携が重要視されている
- 介護現場での看取りの役割が大きくなっている
- 介護現場での感染対策、安全対策が求められている
ここからは、介護現場での看護業務について掘り下げていきましょう。
病院から介護施設に転職、看護師が感じるギャップとは
病院、特に急性期領域で経験してきた看護師にとって、介護施設は未知の領域です。
病院での「当たり前」は介護施設では通用しません。
集中治療室勤務から、介護施設に転職した看護師さんの体験談を聞いてみました。
私が一番驚いたことは、看護師が無資格のヘルパーさんに指導されたことです。
褥瘡ができにくいように工夫しておむつを当てていたのですが、ヘルパーさんに「ダメダメ!こんなやり方じゃ横に漏れちゃうでしょ!
私が教えるとおりにやってもらわないと困る」と激怒されました。
看護師はエビデンス(医学的根拠)に基づいてケアしているのに、経験だけでダメ出しされたことに驚きました。
入浴前にヘルパーさんが利用者さんの体温を測っているのですが、「36度7分なんですが風呂に入れてもいいですか」とか本当に細かいことで報告してくるんです。
看護師にしたら、状況判断してよ、と思うことも多くて疲れます。
介護施設に転職した看護師さんなら、こんなこと#あるあるだわ、と共感できるエピソードですね。
病院の常識は介護施設ではそのまま通用しないようです。
介護施設の方が仕事が楽、は本当か
病院勤務に比べて、介護施設の方が仕事が楽。は本当でしょうか。
病院での勤務に疲れたから、介護系の仕事に転職したい、と考える看護師さんは少なくなう様ですが、
実際に介護現場を知らないまま「医療現場より介護の方が楽そう」というイメージを持っている方が多い様です。
介護現場は、医療施設とは違う難しさがある
介護現場では、周術期でドレーンチューブの排液量を逐一観察したり、救命のため気管内挿管の介助をしたり、カテコールアミンを投与したりするような緊迫した状況はありません。
しかし、高度な医療的処置ほど仕事が困難で、介護が楽とは言い切れません。
介護現場では、認知症や構音障害、身体麻痺などによって体の不調を訴えられない利用者さんがたくさんいます。
介護現場の看護師は、異常の早期発見のため、鋭い観察力と細やかな配慮が求められます。
介護現場は、医療の知識のある人や機材が少ない
もちろん、利用者さんの急変時には、心肺蘇生の処置が必要になります。
しかし、介護現場で働く看護師の特徴として、看護師が自分しかいない、または少人数ということ、あわせて、医師も常駐しない現場がほとんどです。
看護師としての適切な判断、臨機応変な対応、処置を実行できる実力が求められます。
私の主観ですが「介護現場で働く看護師の方が楽」は間違いだと思っています。
介護施設職員と看護師のコミュニケーションが難しいわけ
介護現場で働く看護師が苦労することの一つに、介護士、ヘルパー、介護福祉士などの介護施設職員とのコミュニケーションが挙げられるようです。
全職員の中で看護師は自分一人、という状況でも上手にコミュニケーションが取れないと仕事に支障をきたします。
介護士やヘルパー側から看護師への苦情として
- 新しく来たばかりで今までのやり方を否定してくる、何も知らないくせに
- 看護師はおむつ交換とか汚い仕事はせずに、事務仕事ばかりしている
- 利用者さんの状態を報告してもちゃんと聞いてくれない
看護師側から介護士、ヘルパーについての愚痴は
- 感染対策が全くなっていない、清潔と不潔の区別が付いていない
- 体位変換やおむつ交換のやり方が良くない
- 誤嚥しそうな利用者さんの食事介助方法が分かっていない
- 看護師に報告すべきことが分かっていない、肝心なことを報告しない
いかがでしょうか。
介護現場ではよくある感情の食い違いですね。
先に紹介した、看護師が介護現場に転職して感じるギャップの体験談にもあったように「おむつ交換のやり方がなっていない」看護師がヘルパーさんに怒られてしまうようなケースです。
ヘルパーさんとしては「私たちは、こうやっておむつ交換するように教えられてきた。看護師であっても新しく来たのなら、私たちにやり方を確認するべきでしょ」という思いがあるでしょう。
看護師としては「無駄にゴワゴワにおむつを巻いて、褥瘡ができるじゃない。エビデンスに反しているわ。指導しないといけない」と考えるかもしれません。
看護師が養成課程で叩き込まれる、看護行為の一つ一つには根拠と目的がある、という思考過程を介護スタッフに求めてはいけません。
介護スタッフは現場教育、経験主義です。この思考過程の違いを認識しておくことが必要です。
介護士、ヘルパーとの上手な付き合い方とは
介護現場で働く看護師が、介護士やヘルパーさんと上手に付き合うためにはどうすればいいのでしょうか?
前提として、上手に付き合うメリットが何か解説していきましょう。
介護現場では、看護師が少人数ですからすべての利用者さんを観察続けることは出来ません。
利用者さんの心身の異変は、介護士やヘルパーさんから報告があって看護師が観察することになりがちです。
介護士、ヘルパーさんとのコミュニケーションに支障があり、気軽に看護師に報告相談してもらえない状況で困るのは看護師です。
- 褥瘡の兆候か?大転子部に発赤がある。
- 滑って転倒し、右肩を机の角で打撲した。
- 薬の粒が大きくて飲み込めないと、吐き出して捨てているのを見た。
このようなエピソードを介護士、ヘルパーから報告してもらうことで、看護師は問題点を抽出し対策を取ることでしょう。
介護士、ヘルパーさんに「看護師になんでも相談してみよう」と思ってもらえる関係でなければ、感染対策・安全対策のアドバイスも上手く伝わらないでしょう。
介護現場ではまず介護士、ヘルパーさんの仕事の仕方、手順、方法をしっかり観察します。ダメと感じたことはすぐに指摘せず、今までのいきさつをじっくり聞いてみます。
その上で、看護師が提案する方法に変更したらどんなメリットがあるのかを説明します。
まとめると
- 介護士、ヘルパーさんのやり方を頭ごなしに否定しないこと
- 看護師は介護士、ヘルパーの話を良く聞く事、時には教えてもらうという態度で接すること
この2点が上手に付き合う秘訣だと思います。
看護師が介護施設で活躍するために必要なこと
- 介護士やヘルパーさんとの関係良好で、利用者さんとのトラブルもない
- 仕事で感じる疲労もほとんどない
- 平穏な毎日
- 病院で働いている時よりちょっと給料が減ったけど、残業も少ないから満足している
- でも、物足りない
- 看護師は名ばかりで、仕事の実情は介護スタッフと同じ
- 看護師としてこれで良いのかと焦ってしまう時がある
こんな思いを抱いている看護師さん、この記事を読んでくれていれば嬉しいです。
介護現場で看護師として自分らしくイキイキと活躍するためには、どうすればいいのでしょうか?
介護現場で看護師が自分しかいないとしたら、利用者さんを看護師目線で観察できるのは自分だけです。
急変時に医療処置ができるのは自分だけです。
急な入院が決まった時に、病院看護師とサマリーのやり取りができるのは自分だけです。
このように、看護師にしかできないことが、いっぱいありますね?
普段は介護士、ヘルパーに近い仕事をしていても、看護師の観察力、文書作成力、基礎看護技術のスキルを磨き続けること、これらは介護現場で看護師らしく自信を持って働くための原動力です。
いざという時に、頼れる看護師として活躍できるために何ができるか、という質問は常に自分に投げかけると良いでしょう。
介護現場では看護師の需要が高まっている
急性期病床、一般病床の増床抑制、早期退院、在宅復帰推進により、医療依存度の高い患者さんが介護現場にどんどん押し寄せています。
胃瘻管理、気管切開部の管理、人工呼吸器やCPAP装着の管理、厳密な服薬管理、心不全を再燃させないための全身管理など、介護施設も訪問看護も病院かと見間違えそうなほどです。
医療と介護、どちらも必要とする利用者さんはますます増加していくでしょう。
介護施設や訪問看護は医療処置が少ないから、看護師は楽に働ける・・・そんな時代は終わり、医療と介護はボーダーレスになっていくと思います。
介護現場では看護師の需要が高まっています。
さいごに
介護施設における看護師の必要性、働く意味について考えてみました。
たとえ同じような仕事をしていても介護士、ヘルパーさんと看護師は違います。
看護師だから出来ること、看護師だから看れること、看護師だから教えられること、たくさんあります。
自信を持って介護現場でイキイキと活躍して頂きたいと思います。
介護で働く看護師さんを応援しています。
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