訪問看護ってそんなに大変なの?病院との違い教えます!

看護師ゴシップ記事
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  • 訪問看護は病院看護に比べて、利用者さんとじっくり話せる
  • 訪問看護は在宅での見取りを支援できる
  • 訪問看護は長く働ける

そうなんです。訪問看護は楽しくやりがいがあります。私は、急性期病院で10年以上勤務後、訪問看護に転職し「看護って楽しい」と感じられるようになりました。

でも、訪問看護は大変です

訪問看護への転職を考えている看護師さんに、その大変さを知って欲しいと思い、記事にしてみました。訪問看護の「やりがい」と「大変さ」その両方を知って頂けたら嬉しいです。

訪問看護は大変、家族から突然のクレーム

高齢者

「前の人じゃなきゃヤダ。」

訪問看護、訪問介護、訪問リハビリテーションなど、訪問系で一番大変なのはクレーム対応と言えるでしょう。

特に、訪問看護する側に身に覚えのない突然のクレームが恐ろしいのです。

利用者さんも奥様ともに、とても穏やかな方で、訪問した時は「今日もありがとうございました」と和やかに、にこやかに話していたにもかかわらず、訪問看護所長に激しいクレームを入れていた。なんてこともあります。さっきまで穏やかに世間話をしていたのに、なんで?とショックを受けるようなこともあります。

看護師個人を指定して、「〇〇さんからは誠意が感じられない、口調がキツい」「〇〇さんは、処置が雑に感じる、もう来ないで欲しい」といったクレームが来ることがあります。

看護師側の明らかな過失やミスを立証できないタイプのクレームです。管理者側として一番困惑するクレーム内容は、

「もう来なくなった前の担当に戻して欲しい。○○さんが良い。○○さんが一番良くしてくれた。」

というものです。大抵は移動か退職した看護師を指しているので、状況説明し受け入れてもらうのに苦労します。

注意すべきことは、嫌がらせを受けている、何か取られた、といった訴えは認知症の初期症状の可能性がある事です。訴えを注意深く聴く事が大切です。

訪問看護は大変、看護に必要な物品が揃っていない

検査

道具がない!ドラエモーン!

訪問看護は、利用者さんのお宅で実施します。

病院や施設なら、当然揃っている看護物品はありません。バイタルサイン測定器具も手指消毒剤も全て持参することになります。

高カロリー輸液など、定期点滴のある患者さんの場合、訪問看護ステーションの点滴スタンドを貸出したり、介護ベッドの附属物品として福祉用具貸与することもあります。

しかし、単発で点滴を受ける患者さんの場合、点滴台はありません。ワイヤーハンガーを手で変形させて、カーテンレールに引っかける、タンスの上段にS字フックを引っかけるなど、知恵を使って代用する必要があります

ベッド上の洗髪や足浴に関しても、専用器具はありませんので、バスタオルとビニールでケリーパッドを自作することもあります。訪問看護師は知恵を絞り、利用者さんのお宅にある物品で看護物品を作成します

看護に必要な物品が揃っていないことは大変ですが、工夫のやりがいと、上手くいったときの充実感を感じられると思います。

訪問看護は大変、文書作成などの仕事が多い

事務仕事の山

事務仕事の山

病棟勤務の看護師さんには、訪問看護は事務的な書類作成が少なそう、と思われている事が多いです。

  • 入院診療計画書
  • OHスケール
  • 転倒転落アセスメントスコアシート
  • 看護必要度の評価
  • 看護計画と評価
  • 安全ベルト・身体拘束に関するアセスメントと同意書

入院時は最低でもこれらの書類作成が必要になってきますね。他にもまだまだあるでしょう。転棟時には転棟サマリー、退院時は退院サマリー、転院時には看護情報提供書、残業してパソコンに向かっている時、私って本当に看護師なの?と思ってしまうほど文書作成が多いですね。

実は、訪問看護も同じように文書作成業務が多いのです。

  • 訪問看護指示書の確認
  • 訪問看護報告書の作成
  • 訪問看護計画書の作成
  • ケアマネ、主治医、ヘルパーステーションへの報告文書
  • ショートステイ入所時のサマリー

他にもいろいろあります。訪問看護だから書類作成が少ない、ということはなく大変なことに変わりないようです。

訪問看護は大変、ケアマネさんとの信頼関係キープ

訪問看護は利用者さん、ご家族との信頼関係構築が最重要です。同じくらい、ケアマネージャーとの信頼関係が重要なのです。

当たり前のことですが、在宅患者さんのケアプラン作成は、利用者さんの意向に沿ってケアマネージャーが行います。介護保険点数は要介護度によって変わります。介護保険点数には限りがあるため、利用者さんの利益が最大限となるようケアプランを作成します。

訪問看護師の対応が悪く信頼できない、と利用者さんがケアマネージャーに訴えれば、訪問看護ステーションの変更が検討されます。地域のケアマネージャーに信頼される訪問看護ステーションでなければ、新規利用者さんの紹介も減ってしまいます。

訪問看護は、ケアマネージャーさんと良好な関係、信頼関係キープする努力が必要です。

訪問看護は大変、夜間の緊急呼び出しもある

訪問看護は夜勤業務が無い。病棟夜勤に疲れてしまった看護師さんが、訪問看護に転職を考える理由の一つです。

訪問看護ステーションによっては、24時間緊急時対応を取っているところもあります。その場合は夜間でも利用者さんからの電話問い合わせや、緊急訪問に対応します。24時間対応は、利用者さんごとに同意書を取る必要があります。

所属する訪問看護ステーションによって、緊急対応を輪番制にするか、ファーストコールを管理者が受け、スタッフ看護師に振り分けるかの2通りの方法が主流となっています。ターミナルケア、見取りの利用者さんを複数抱えている時は、かなり大変と言えるでしょう。また、自宅内での転倒転落による外傷や、カテーテル類の自己抜去に対応することもあります。

医療保険の利用者さんが多い訪問看護ステーションは、夜間緊急呼び出しの頻度が高い傾向にあるようです。

訪問看護は大変、移動の体力消耗

おかげで足の筋肉が発達します

おかげで足の筋肉が発達します

訪問看護は、利用者さんのお宅まで移動しなければなりません。移動手段は徒歩、車、自転車、公共交通機関など、利便性によって選択されます。車で訪問したいけれど、家の前に車が侵入できない環境で不可能な場合もあります。

移動は体力消耗します、移動は体力との勝負です。

訪問看護ステーションから利用者さんのお宅まで、自転車で10分。これで楽勝と思ってはいけません。次に訪問する利用者さんのお宅が、全く逆方向に10分の場所にあれば、次の移動時間は20分以上かかることになります。

台風接近、雷雨、雪、猛暑、プライベートなら絶対自転車で出かけない気候条件でも、訪問看護は行かない訳に行きません。自転車の後カゴには常に、雨合羽がスタンバイしています。

車を運転して移動できるから楽勝、と思ってもいけません。移動時間ギリギリで利用者さんのお宅に向かっている途中、事故渋滞に巻き込まれた時などは悲惨です。待っているのに訪問看護師が来ない!ということになってしまわないよう、各部署に電話連絡しながらの移動になります。

訪問看護の移動は慣れるまで本当に大変です。慣れても悪天候や渋滞には悩まされます。

訪問看護は大変、移動中の荷物が多い

訪問看護師は荷物が多いです。

先に書いたように、利用者さんのお宅に看護物品が設置されていないためです。

血圧計、体温計、酸素飽和度測定器、聴診器、消毒薬、ガーゼやフィルムドレッシング材各種、点滴・採血物品、等々。訪問用バックに機能的に配置しないとパンパンになってしまいます。訪問看護移動用の自転車には、ほとんど後カゴが付いています。そうしなければ荷物が搭載できないからです。

かかりつけ診療所から、点滴処方を受けて現物を運搬する時は大変です。特に高カロリー輸液剤は1本1000mlが主流ですから、10日分となると10Lの荷物です。また、エンシュアリキッドやラコールなどの栄養補助剤も、箱ごと運搬することもあり大変なのです。

看護物品、利用者さんの輸液製剤だけではなく、看護師の私物もあります。最も重要なのは、訪問看護師の水分補給用ペットボトルや水筒です。猛暑の移動は、脱水との戦いです。私は自転車で移動中、2Lのペットボトルを携帯していました。訪問看護ステーションに帰る時間が無いけれど、着替えたい時のために着替えのポロシャツも携帯していました。

訪問看護師は、移動中の荷物が多くて大変です。いかにコンパクトに機能的にまとめるかが、腕の見せ所と言えます。

訪問看護は大変、小規模ステーションの業務調整

どうしても休めなくなりやすい

どうしても休めなくなりやすい

病院勤務で、看護師同僚が急に休むことになったらどうなりますか?

夜勤のシフトに組み込まれている場合は、師長さんが勤務交代を指示して、全体のシフト変更が行われます。日勤看護師の人数は減りますね。出勤看護師の一人当たりの業務量は増えますが、患者さんに与える影響は大きくありません。

常勤看護師3人、午前中だけのパート看護師1人で運用している訪問看護ステーション。

常勤看護師の1人がインフルエンザで急に5日間休むことになりました。この場合はどうでしょうか?

健康な常勤看護師2人は休みを返上し、休んでいる看護師に割り当てていた訪問を割り振ります。利用者さんによっては、訪問時間を変更せざるを得なくなり、利用者さん、ケアマネージャー、ヘルパーステーションなど関係各所へ連絡し、お詫びした上で変更の同意を得ていきます。訪問介護と訪問看護、訪問リハビリテーションと訪問看護、など複数のサービスを受けている利用者さんは、スケジュール調整が重要になってきます。

高カロリー輸液の点滴更新、麻薬製剤の投与、胃瘻注入処置などがある利用者さんは、訪問時間を変更できませんので、更に調整が大変です。

小規模訪問看護ステーションの業務調整は大変です。インフルエンザで5日休むくらいなら何とか残ったメンバーで乗り切れそうですが、急な退職の場合はパニックになります。

まとめ

いかがでしたか?訪問看護の大変さ、お届けできたでしょうか?

訪問看護は、利用者さんのお宅にお邪魔する、移動して看護を提供するため、病院勤務とは違った側面で大変なことがあります。

入院日数短縮、在宅復帰推進の政策が進み、今後ますます訪問看護の需要は高まっていくことでしょう。訪問看護師の私は、大変さ以上のやりがいを感じています。少しでも興味のある看護師さん、ぜひ訪問看護に飛び込んで下さい。

仲間が増えることを楽しみに待っています。

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