訪問看護だけどどうせなら”訪問看護認定看護師”になるべき?

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経験の長い分野を極めたい、好きな分野を極めたい、と熱い気持ちを抱いている看護師さん。

漠然と何か資格を取りたい、と希望している看護師さんも、認定看護師資格は気になりますよね。

認定看護師資格を取得して、現場で専門性とリーダーシップを発揮し、仕事に充実感を感じられるのは理想の働き方だと思います。

ただ、認定看護師への道のりは決して平坦ではないのが実情です。

この記事では、訪問看護認定看護師について詳しく解説していきたいと思います。

現役の訪問看護師さんだけではなく、訪問看護にちょっと興味がある看護師さんにも「目からウロコ」の情報をお届けします。最後までお付き合いください。

訪問看護認定看護師に求められる役割は

2006年7月に認定が開始された訪問看護認定看護師は、認定看護師分野では新しい分野と言えます。訪問看護認定看護師に期待される主な役割は以下の通りです。

在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援、およびケースマネジメント看護技術の提供と管理(http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn 日本看護協会ホームページより引用)と表記されています。

よく分かりましたか?大きなテーマ過ぎてよく分からない、という方が多いのではないでしょうか。私もそうでした。

在宅療養する利用者さんが、自分らしく、納得いくように、できるだけ快適に過ごせるように支援するのは、普通の訪問看護師、在宅ヘルパー、ケアマネージャー等、支援する人共通の目標であり、認定看護師独自のものではありませんね。

ケースマネージメント看護技術とは、個別的で論理的な看護展開とエビデンスに基づいた確かな看護後術、表現しているものと思われます。

これも、訪問看護師であれば提供すべき看護と言えるでしょうが認定看護師独自のものとはいえません。

認定看護師の特徴は、活動範囲に「管理」が含まれることです。

「管理」には「教育」という意味合いもあります。

看護の対象である利用者さんへの看護指導はもちろん、地域の訪問看護師や、利用者を取り巻く事業者等の教育を担当するということです。

それだけ、認定看護師は専門性が高く影響力のある資格と言えます。

訪問看護認定看護師のなり方は

訪問看護認定看護師のなり方訪問看護認定看護師のなり方を解説していきます。

資格要件は、日本の看護師免許を有し、看護師免許取得後通算5年以上の実務研修経験証明が必要になってきます。

この5年間のうち、3年以上は訪問看護分野の経験が必要とされています。

資格要件を満たしたうえで、訪問看護認定看護師を専門の養成機関で半年間学びます

この間、全日講義になりますので、通常の仕事との兼務は難しいようです。

修了後に、筆記試験、認定審査を受け合格すると訪問看護認定看護師になれます

養成機関は少なく、全都道府県にはありません。代表的な養成機関は、東京の聖路加看護大学、兵庫県の兵庫県看護協会などです。

資格要件、養成機関等の最新の情報は、日本看護協会のホームぺージで確認してください。

現場責任者ほど認定看護師が取りにくい事情とは

認定看護師の資格取得は平坦な道ではありません。言い切ってしまうと、目指したい看護師さんの情熱に水を差すことになりそうですが、本当の事です。

まず、認定看護師資格を取得するための要件を満たすべく経験を積んでいきます。

そして認定看護師養機関の試験に合格しなければなりません。

各養成機関の入学受け入れ人数は少なく、かなり狭き門です。

また、通学中は学業に専念する必要があるため、仕事との両立はほぼ不可能となります

訪問看護で豊富な経験を積んだスタッフは、ステーション所長、看護師長に昇格していきます。訪問看護ステーションはスタッフ5~7人以下の小規模ステーションがほとんどです。

現場責任者として後輩看護師を指導、統括する立場になれば、認定看護師の資格取得のため約半年、仕事を離れることは難しくなってしまいます

訪問看護の現場責任者ほど、認定看護師が取りにくい事情があるようです。

訪問看護認定看護師を目指すのはいつがいいのか

訪問看護認定看護師を目指すために、訪問看護に就職・転職する看護師さんは少数派です。

業務を続けるうちに「訪問看護って面白い」「もっと深く勉強したい」という思いが少しずつ芽生えたり、訪問看護認定看護師に教えてもらったり体験談を聞く事で、憧れを抱くケースが多いようです。

就職した時点では、認定21分野に訪問看護が含まれている事自体を「知らなかった」という方もいます。

訪問看護に就職・転職した時点で、訪問看護認定看護師を目指している、と明言し目標に向かって経験を積んでいくのが理想です。

認定看護師を目指すには、準備が必要ですから早ければ早いほどいいでしょう。

在宅療養利用者さんの訪問看護認定看護師への思いは

在宅療養中の利用者さんにとって、担当看護師が「普通の看護師か、認定看護師か」は余り興味がありません。

私は、何人かの利用者さんやご家族に、認定看護師の方が良いかを聞いてみたことがあります。

私が独自にヒアリングした内容ですので、データにエビデンスはありませんが、参考にして頂きたいと思い紹介します。

  • 偉い資格を持っているに越したことはないけど、慣れている看護師さんの方が安心する。
  • 話を良く聞いて、自分たちの希望を聞いてもらえる看護師さんなら資格は関係ない
  • 優しい人に来て欲しい
  • 指導、みたいな感じで来られると緊張する。話しやすい雰囲気の年配の人に来て欲しい
  • 注射とか採血が上手な人が良い

利用者さんは、親しみやすさや話しやすさ、看護技術の熟練度が高い、ということに主眼を置く傾向にあるようです。

ならば、認定看護師になるメリットはどこにあるのでしょうか?

訪問看護認定看護師になるメリットとは

訪問看護認定看護師になる最大のメリットは、より知識を深め、最良の看護を提供できることに尽きると思います。

それ以外にもメリットはたくさんあります。経験を資格という形にし、表現できることです。詳しく解説していきます。

小規模の訪問看護ステーションで勤務し、病院へ転職する場合、訪問看護の期間は経験加算しないという病院があります。病院しか知らない医療従事者の中には

  • 訪問看護は医療的知識が少なくても出来る
  • 「病院看護師に比べて薬や治療に関する知識が低い
  • 「人工呼吸器管理などME機器の知識が無い

というとんでもない偏見を持っている人がいます。

訪問看護は認定21分野に含まれる専門性の高い看護です。

しかし、時代の認識が追いついておらず、ベテラン訪問看護師の仕事ぶりは外部に評価されにくい現状です。

認定看護師になることは、経験を資格という形にする最良の方法でしょう。

認定看護師になるデメリットとは

訪問看護認定看護師になってデメリットがあるはずはない。その通りです。資格取得は素晴らしい事です。

しかし、働く場所によっては、資格取得がデメリットになってしまうこともある事を知って欲しいと思います。

苦労して訪問看護師認定看護師になっても、認定看護師としての仕事をさせてもらえずスタッフ扱いのままで活躍できない、または通常業務に認定看護師の役割が追加され耐えられない激務となるケースです。

認定看護師になっても、管理職でなければスタッフ看護師のままです。

認定看護師手当などの、給与ベースアップの規定が無い場合もあります。

小規模な訪問看護ステーションでは、養成機関通学期間は、何とか他のスタッフで業務の穴埋めをしてもらえても、認定看護師としての特殊な業務をする時間と権限が与えられない危険性もあります。

認定看護師として活躍する機会が与えられなければ、モチベーションが下がってしまいます。

訪問看護師の数に余裕が無ければ、訪問件数は均等に割り当てられます。

その上、退院前カンファレンス参加、地域ケアマネ交流会、病院主治医との面談、新人看護師指導、訪問看護計画書、訪問看護報告書作成などの業務が一気に追加されると、激務です。

ある訪問看護師さんは、資格を取って職場に戻ると「せっかく認定を取らせてあげたんだから、外部カンファレンスはあなたが行ってね」と、今まで分担していた業務を一手に押し付けられ、疲弊してしまったと語っていました。

訪問看護認定看護師としての知識技術を正しく評価してくれる、適切な業務調整をしてくれる、そんな理解のある訪問看護ステーションに所属していなければ、能力を発揮できない危険性があります。

訪問看護を本当に極めたい、強い思いが大切

訪問看護認定看護師になるメリットとデメリットの両方を紹介してきました。

認定21分野で「どれかの認定を取りたいから」という理由で訪問看護を選ぶと、苦労した割にメリットが少なく不満やストレスを感じてしまうことになりそうです。

訪問看護ステーションで、責任者や他のスタッフと十分にコミュニケーションを取り、資格取得をバックアップしてくれる環境が整っていてこそ、資格が生きてきます。

認定資格に挑むからには、訪問看護を極めたい、もっといい看護を提供したい、地域と繋がって利用者さんの窓になりたい、そんな強い思いが必要でしょう。

まとめ

ここまで訪問看護認定看護師について解説してきました。ポイントをまとめます。

  1. 訪問看護認定看護師は認定21分野の1つ。一定の経験と、養成機関への通学が必要である。
  2. 認定資格を活かして活躍するには、所属する訪問看護ステーションの理解が不可欠である。
  3. 認定看護師を目指す時期は早いほど準備がしやすい
  4. 認定資格は、訪問看護師としてのキャリアを形にする最良の方法である。

さいごに

訪問看護認定看護になった方が良いのか、なりたいけど今の職場で大丈夫か、本当に目指せるのか、などいろいろな疑問があると思います。

記事を読んで頂き少しでも解決に繋がれば嬉しいです。

訪問看護は支援が必要な利用者さんが増加し、今後ますます需要が高まってきます。

生を支援する看護、死への過程を支援する看護、どちらも人生サポートです。

訪問看護認定看護師が一人でも増えることを願っています。

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