現在、多くの病院や医療施設で、看護師の新人教育に、「プリセプターシップ(プリセプター制度)」が導入されています。
新人看護師として、働き始めたみなさんにも、プリセプターと呼ばれる指導担当の先輩看護師がついていますよね。
プリセプターからみて、担当の新人看護師はプリセプティと呼ばれ、一定期間マンツーマンで指導を受けます。
プリセプターは、新人看護師(プリセプティ)が一人前になるまで、サポートしてくれる先輩看護師であり、新人看護師にとって頼もしい存在です。
しかし、プリセプターがいるからこそ生まれる悩みというのも必ず存在します。
新人看護師のみなさんが抱えている、プリセプティならではの悩みにはどんなものがあるのでしょうか?
今回はプリセプターシップで悩めるプリセプティ向けの記事になっております。ぜひ最後までお付き合いください。
プリセプティがよく抱える悩みとは?
多くのプリセプティが、プリセプターシップがあることによって抱えてしまう悩みは、以下の6つがあげられます。
- プリセプターに気を使ってしまっている
- プリセプターに申し訳ない気持ちになってしまう
- 同期と比べて、自分だけ成長が遅く感じる
- 夜勤の壁を越えられない
- プリセプターと性格が合わない
- プリセプターへのお礼の仕方がわからない
プリセプティの悩み①プリセプターに気を使ってしまっている
ほぼ100%のプリセプティが、プリセプターに気を使ってしまっていると感じたことがあると思います。
プリセプターの顔色を伺いながら、仕事をしていることはありませんか?
「今話しかけていいのか」「こんな事を質問してもいいのか」「頼りすぎて迷惑がられたくない…」
プリセプターが他の人と話していたり、忙しそうにしていると、邪魔にならないよう気を使って、なかなか質問しにいけなかったり、報告が遅れたりすることもありますよね。
プリセプターに何でも相談してと言われていても、どこまで頼っていいのかわからなかったり…。
プリセプターがいる所で、他の先輩に質問したりするのが、変に気まずく感じたりしませんか?
実際はそうではないかもしれませんが、プリセプターが嫌な顔をしているように感じてしまうプリセプティさんもいると思います。
でも、プリセプターに気を使いすぎる必要はありません。
プリセプターは、プリセプティの成長をサポートする仕事ですので、自分の仕事が忙しくても、プリセプティの質問や報告を聞くの当然の義務です。
しかしプリセプターも人間ですので、バタバタしている時や忙しい時など、自分に余裕がない時に、プリセプティに話しかけられると、空気読んで欲しいなと思うはずです。
プリセプターに気を使って、「質問しない・相談しない」のではなく、話しかけるタイミングを見極め、効率的な質問の仕方をしましょう。
質問する前に、「今少し質問してもいいですか?」「時間ありますか?」と聞くと、プリセプターも都合が悪ければ「ちょっと後にしてほしい」と断れるのでいいと思います。
緊急性が高い場合は、そのことを伝えてから質問するか、プリセプターが忙しそうならリーダーや他の先輩に伝えるのも全然アリです。
質問する時は、聞きたいことの要点を簡潔に聞くこと、自分で考えたことを伝えることを意識しましょう。
また、質問に答えてもらった時は、きちんとお礼を言いましょう。
わかった時はわかった事、わからなかった時はわからなかった事を素直に伝えた方が、指導する側は安心します。
プリセプティの悩み②プリセプターに申し訳ない気持ちになってしまう
新人看護師時代は、誰もが必ずミスをするものです。
自分のミスをプリセプターが一緒に謝ってくれたり、インシデントレポートを書くのを手伝ってくれたりすると、とても頼もしいですが、それと同時に申し訳ない気持ちでいっぱいになりますよね。
忙しい中で、自分の時間を割いて指導してもらっているのに、なかなか教えてもらったことが覚えられなかったり、上手く出来なかったり…。
自分のせいでプリセプターに迷惑をかけている、自分がプリセプターの負担になっていると感じてしまいがちです。
しかし、そこで落ち込んで悩んでしまっていては何も解決しません。
プリセプターに申し訳ないと思ってしまった時は、落ち込むよりも成長のチャンスだと考えましょう!
起こってしまったミスはどうしようもないので、何が良くなかったか・どうすれば同じことが起こらないかをきちんと考え、考えたことをプリセプターと話し合い、次に同じミスをしないようにしましょう。
プリセプターは、プリセプティが頑張っている姿、努力する姿勢を見ています。
プリセプターに申し訳ないという気持ちに押しつぶされず、ミスを繰り返さない努力、覚えられないことを覚ようとする姿勢を大切にしましょう。
プリセプティの悩み③同期と比べて、自分だけ成長が遅く感じる
新人看護師時代だけでなく、看護師はなにかと同期と自分を比べてしまいがちです。
同期は、同じ悩みを共有できる理解者であると同時に、いいライバルでもあります。
お互いを意識しながら、共にスキルアップしていける関係が理想ですが、人には得意・不得意があるため、成長のスピードも様々です。
- 「同期はここまでやらせてもらっているのに、自分はまださせてもらっていない」
- 「同期はこれが出来るのに、自分は出来ない」
- 「自分のプリセプターも、同期の違う子がプリセプティだったらよかったのにと思っているんじゃないか」などと、劣等感を抱いてしまうケースもよくあります。
しかし、早く出来るようになった人が、最終的に伸びる人だとは限りません。
覚えるのに人より時間がかかっても、確かな知識が身についている方がいいですよね。
作業が早く出来なくても、その分丁寧で正確であることもあります。
プリセプターや教育担当看護師は、それも含めて新人看護師を見ています。
同期のいい所や自分にない所を客観的に評価し、自分の成長に活かしましょう。
同期同士で悩みや愚痴を話し合ってみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、同期も同じようにあなたに対して劣等感を持っているかもしれません。
プリセプティの悩み④夜勤の壁を越えられない
「なかなか夜勤に入れない」「自分にだけ夜勤にいつまでも指導役がつく」
と悩んでいる新人看護師さんも少なからずいるようです。
「このままじゃ夜勤に入れないよ」「早く夜勤も一人で回れるようになってよ」
と先輩看護師から言われて傷ついた経験がある人もいるかもしれません。
面と向かって言われていなくても、無言のプレッシャーを感じる時もありますよね。
新人看護師にとって、夜勤は一つの目安です。
なぜなら、夜勤は日勤と比べて看護師の人数が少ないので、必然的に抱える患者数が多くなります。
普段は他の人がしてくれるナースコールの対応も、新人看護師がやらなければいけない機会が増えます。
普段なら寝ている時間に起きていることも大変なのに、たくさんの患者さんの状態を把握しなければいけないので、新人看護師にはなかなかハードルが高いです。
自分だけ夜勤に入れないと焦っている人は、まずはしっかり経験を積みましょう。
日ごろから、患者さんの情報収集やアセスメントがしっかり出来ること、ナースコール対応が出来ること、先輩に報告・連絡・相談が出来ることが、夜勤をする上で必要な条件となってきます。
看護師の人数が多い日勤でも、夜勤を想定して、効率的な検温や採血などの回り方を考え、緊急時の対応を学び、積極的にナースコール対応をする練習をしましょう。
そうすれば、そのうち夜勤デビューする日が訪れるはずです!
プリセプティの悩み⑤プリセプターと性格が合わない
「プリセプターと性格が合わない」というプリセプティさんは、結構います。
でも、性格が合うと感じるペアの方が、実は多いかもしれません。
プリセプターとプリセプティのペアの決め方は、ぶっちゃけ相性とかはまったく考慮されていないといってもいいと思います。
就職面接や事前の職場研修などで、なんとなくしか新人看護師の性格を把握できないので、出身校や性別、年齢などで判断するしかありません。
プリセプターに選ばれる看護師も、経験年数で決まるので、全員が後輩に優しいタイプの看護師であるわけではありません。
ですので、プリセプターとプリセプティの性格が合う・合わないは必ず生じます。
そして、「こればっかりは仕方ない」と思うしかないという部分もあります。
プリセプティだからといって、無理してプリセプターの性格に合わせる必要はありません。
ただでさえ仕事でストレスが溜まるのに、プリセプターとの性格の不一致でストレスを増やしたくないですよね。
他のペアは一緒にご飯とか行っているのに、自分たちはそんなに仲良くないというペアもたくさんいますので、悩む必要はありません。
相談相手は、プリセプターだけではないので、同期や他の先輩看護師に相談してみましょう。
実際に、私が以前働いていた職場でも、自分のプリセプターではなく、他の人のプリセプターとの方が親密な新人看護師もいました。
ただしそういう場合、相談はしても、自分のプリセプターの悪口はあまり言わないようにしましょう。
性格が合う・合わないはあっても、仕事上、1年間は指導役であることには変わりありません。
仕事をする上で、困らない程度の人間関係でいられればいいのではないでしょうか。
プリセプティの悩み⑥プリセプターへのお礼の仕方がわからない
1年間お世話になったプリセプターに、感謝の気持ちを伝えたいと思っているプリセプティさんはたくさんいると思います。
「実際に感謝の気持ちをどうやって伝えていいかわからない」
「手紙を書くべきなのか、なにか物も渡した方がいいのか」
と悩んでいるプリセプティさんはいませんか?
プリセプター側の意見からすると、お礼に物を渡すのは、お返しなどに気を使ってしまうのでやめた方がいいと思います。
(プリセプターや自分が退職したり、部署移動する場合は物を渡すのもアリです!)
お礼の気持ちを手紙にしたり、メールやLINEで1年間の感謝の気持ちを伝えるだけで、十分いいと思います。
プリセプターにとって、1番うれしいことは、自分が指導したプリセプティの成長を感じられることです。
新人看護師を卒業し、1人前の頼もしい同僚になることが、プリセプターへの1番のお礼になると思います。
今、プリセプティができる”ちょっとした”悩み改善方法
ここまでいろいろ書きましたが、すべての悩みが一気に解決することってないですよね。
人によっておかれている状況や、周りの人々、悩みも様々です。
もしかしたら、時間しか解決してくれない悩みもあるかもしれません。
しかし、今すぐに、今抱えている悩みを“ちょっとだけ”改善できる方法があるので、試してみて下さい。
まず、今抱えている悩みを具体化してみましょう。
例えば、「プリセプターに気を使ってしまい、聞きたいことを聞けない」という悩みがあるとします。
悩みを具体化したら、次になぜ、そう感じているのか考えてみましょう。
- 前に質問をした時に、プリセプターに嫌な顔をされた(気がする)。
- 質問しすぎと思われている(かもしれない思う)。
- いつ話しかけていいかわからない。
という3つの理由があったとします。
では、それぞれについて原因を考えてみましょう。
- なぜ嫌な顔をされたのか→タイミングが悪かった、前も同じことを聞いた、答えにくいことだった
- なぜ質問が多いと感じるのか→わからないことが多く、いつも質問している
- なぜ話しかけるタイミングがわからないのか→プリセプターが忙しそうに見える
原因がわかれば、解決策が見えてきます。
- タイミングを考える、同じ事を繰り返し聞かないようメモを取る
- わからないことはまず自分で調べてみて、それでもわからないことを聞くようにする
- プリセプターが作業中や他の人との会話中を避ける、質問があることを伝え、都合のいい時間に答えてもらう、別の人に聞く
このように、解決策が何個か浮かぶと、悩みも改善に近づきますよね。
また、今悩んでいることが、「本当に悩むようなことなのか?」を考えてみて下さい。
「プリセプターに気を使って、聞きたいことが聞けない」なら、「じゃあ別の聞きやすい人に聞けばいいじゃん」、「プリセプターには申し訳ないけど、指導役だから教えてもらうしかないじゃん」くらいの軽い気持ちで受け止めてももいいことかもしれません。
今、悩みを抱えている新人看護師のみなさんも、深刻に考えすぎず、一緒にこの1年を乗り越えていきましょう。
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