私ってコミュ障!?患者とのコミュニケーションに悩む本当の理由

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看護師をしていると、多種多様な疾患に加え、多種多様な性格、価値観の患者と多く接する機会が多いですよね。

そうすると悩みを抱くことが多いのは患者とのコミュニケーションです。

患者の価値観に合わせる必要がないのですが、ついつい価値観に合わせようと無理をすることが多くなりがちです。

また、ニーズが何かを探るように接してしまい、患者との関係に壁が生まれて、かえってニーズがとらえられない場合も多くなっていませんか?

そこで、コミュニケーションができない理由について、自分を客観視してみるのはいかがでしょうか。

今回は、コミュニケーションに悩む本当の理由を追究してみました。

コミュニケーションをとれない悩みとは?

高齢者の患者さんのイメージ写真

さて、コミュニケーションが難しいと感じる例を挙げて、その理由も挙げてみましょう。

本音を引き出すまでに至る日常会話が思いつかない

本音を引き出すのに時間が必要ということを無視していませんか?

すぐに関係を深められないことに焦りがある内は、さりげない会話すらできずに、意図的な関係作りは逆効果となる可能性があります。

認知症だから会話にならない

“認知症だから”と思うとき、そもそも、認知症という病気の知識を正しく持っているのでしょうか。

“何もわからない”人ではなく、“わかりづらく”なっているだけです。

患者は鏡とよく言いますが、あなたの表情が患者の表情と思うと、どうでしょうね。

「会話にならない」と思っているのは患者の方かもしれませんね。

小児まひや難病、脳梗塞などで明瞭な言語的コミュニケーションが困難

マヒや筋力低下により、言語的コミュニケーションが困難となって、どう意思疎通をすればよいのか悩む人も多いのではないでしょうか。

しかし、学校で習っているのですよね、コミュニケーションは言語的なもののほかに、非言語的な方法もあるとわかってはいますが、意思をつかめないと患者さんにため息をつかれたり、どことなくあきらめられたり、コミュニケーションをとれない焦りや不安感で病室から足が遠のく…なんてことも。

そうなると益々関係構築はできなくなりますね。

患者がいつも威圧的な態度でこわい

病室や廊下で会うたびに、上から目線で圧力をかけて話しかけられると会話しづらく、病室へ向かうにも恐怖感が生まれていませんか?

病院で出会う患者はほとんどの方が年上ですよね。

年下の人にうまく接することができなかったり、病気に対する受容の状況によっては「怒り」の時期にある方もいます

威圧的な様子に萎縮する態度で、理解しようとしない姿勢である限り、この場合も関係構築はできなくなります。

がんなどの末期の人にどんな声をかけたらいいか分からない

病棟によっては終末期にある方を受け持つことが多くなることもあります。

看護で寄り添うことが大事…と学んではいても、どう接することが寄り添うことになるのかは人それぞれ違います。

うなだれる姿、怒る姿、涙を流す姿が、不憫で、悲しさが伝わってきて、接し方に困惑し会話が生まれない、という状況はしばしばあり得ます。

相手を傷つけたくないからこそ、悩んでしまうのですよね。

自分の価値観や見えない壁を自覚しよう

コミュニケーションの悩みにより、患者との関係構築をさらに悪化させる事態になるのは、一番避けたい状態ですよね。

ここまで挙げてきたコミュニケーションの悩みは、いずれも共通する根本的な問題があると考えます。

それは、相手が壁を作っているのではなく、自分が壁を作り上げている事実をただしく認識できていないということです。

  • 「本音を引き出さないといけない」
  • 「認知症の人は話しても何もわからない」
  • 「手っ取り早く言語でコミュニケーションできないから自分だけ焦ってしまう」
  • 「いつも怖い対応をされるのは、きっと自分が頼りないからだ」
  • 「かわいそうな状況だからどう声をかけても助けになんてならない」

自分の“こうでなくてはいけない”という価値観で先に考えて、相手の心を無視してはいませんか?

コミュニケーションに困っているのは、あなただけではなく、患者も困っているから益々コミュニケーシ不良になる可能性があります。

また、患者の病気の状態や需要の段階をきちんと学術的に理解できていますか?

悩んだり焦る感情が壁となって、病気による影響を含めてのコミュニケーションを行えていない自分に気づいていない可能性があります。

コミュニケーション困難の解決方法は?

さて、悩みの根本を明らかにできたところで、解決方法を考えていきましょう。

塵も積もれば山となる、塵のように小さな行動が関係構築の山を築くのです。

日常会話はあいさつだけでもいい

コミュニケーションをとる看護師日常会話とはうまくいけば何ターンも行えますが、最初からターンを返したくなるような関係性はなかなかできていないものです。

挨拶も立派な会話、と胸をはって病室でも廊下でも「こんにちは」「調子はどうですか」と声をかけてみましょう。

そうすることで、話しかけづらさを患者が感じることなく、場合によっては患者から声をかけてくれるようになるかもしれません。

よく病室にいくこと

患者とコミュニケーションを取る看護師のイメージ写真

他の看護業務が忙しいからできないことかもしれませんが、ほんの少しでよいのです。

先ほどのあいさつと同じで病室に顔を出してくれると、ナースコールを押しづらい性格の患者の心の寄りどころになるかもしれません。

また、終末期の方を“かわいそうな人”ではなく、一人の人として対応して、特別な会話をするのではなく、他愛ない日常会話をできる看護師は、その患者にとっての救いとなるかもしれません。

あの人なら私の心に共感してくれそう、と顔を思い浮かべて“特別な”会話をしてくれる時、コミュニケーションの困難さを乗り越え、信頼関係ができたと言えるでしょう。

患者にとってもあなたにとっても“日常”となるように、病室へ意識的に挨拶でもしに行ってみるのはいかがでしょうか。

表情や目線、その人なりの発語方法で話している些細な動きをとらえる

これは、前に挙げた解決方法の、よく病室に行くとか、挨拶から始まる会話を、日常的に行わないとできないことですよね。

“その人なり”が大事なポイントです。

言葉がなくても、目線の向く先に求めるものがあるかもしれませんし、習慣的行為を患者の希望通りに補助しようとかかわる姿勢が、患者からサインをもらえるきっかけになることもあります。

いつもと違うな、という感覚を得られると、臨機応変にも対応できる、看護スキルの高いコミュニケーションのうまい看護師になれそうですね。

小児まひや認知症などによる認知機能や高次機能障害について勉強をする

機能的に困難となっているメカニズムを調べて、根拠をもって適したコミュニケーションの方法を考えましょう。

認知症の方を例に出すと、先にも述べましたが、“わかりづらく”なっている状態なだけですので、何を言っても無駄、ということはないです。

本人のかつての生活習慣や言葉の端々から、何を大事にしてきた人なのかを知ることで寄り添っていくことが大切です。

また、おそらく名前を覚えてもらうことも、毎日会っている人と覚えてもらうことも、困難はあるでしょう。

しかし、あなたの声のかけ方や物腰、“自分にとって害のない人”という雰囲気は、あなたがかかわり方を変えなければ伝わっているのです。

記憶はうまく手繰り寄せられなくても、感情が変わりなくあるので、不快なコミュニケーションをとられれば、それ相応の対応となるのですよ。

これ以上に、認知症という病気だけでも、より奥深い知識が必要であると同様、他の病気でも知識を得ることで患者の心に寄り添う方法を得られると思います。

おわりに

コミュニケーションに悩んだ時、「方法」を考えてしまっていませんか?

「方法」の前の段階でつまずいていることに気づかず、ドツボにはまって悩んでいることが大いにあり得ます。

まずは今のコミュニケーションが難しいと感じる、狭い視野になっている自分に気づきましょう。

それから、「思考」や「知識」を身に着けることで、自然に「方法」はついてくるのです。

  • がん患者は「かわいそうな人」なのか…
  • 認知症患者は「何もわからない人」なのか…
  • 小児麻痺患者は「会話できない全介助の人」なのか…

自分の見方が変われば、

  • がん患者は「今をしっかり生きている一人の人間」
  • 認知症患者は「忘れやすいけども素直に生きている高齢者」
  • 小児麻痺患者は「介助を受け入れてくれて話すのがゆっくりな人間」

見方を変えれば全く違う人のような印象を覚え、コミュニケーションに悩んでいたのがウソみたいに話してみたくなるかもしれませんよ。

今回のまとめが、患者にとっての自分、自分の中での患者という存在をどう思っていたのか考えるきっかけになれば幸いです。

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