NICU看護師になりたいと思っている人に向け、元NICU看護師がNICUの仕事内容やどんな人が向いているのか?
などなど、NICUについて詳しく説明していきます!
- 「NICU看護師になりたい!」
- 「NICUに興味がある」
- 「NICUに配属されたけど、どんな職場?」
と思っている看護師さんは、この記事がぜひ参考になればと思います。
そもそもNICUってどんなところ?
NICUとは「Neonatal Intensive Care Unit」の頭文字をとった略で、日本語では「新生児特定集中治療室」といいます。
…何だか難しい言葉ですよね。
簡単に言うと、NICUは何らかの理由で治療が必要な赤ちゃんに対して24時間体制で高度医療を提供する「赤ちゃん専用の集中治療室」です。
高度医療を提供するので、受け持ち人数は昼夜問わず赤ちゃん3人に対して看護師1人の体制になっています。
NICUにはGCUもセットになっている
ちなみに…
NICUにはGCUもセットになっている病院がほとんどです。
なので、GCUについても少し説明したいと思います。
GCUとは「Growing Care Unit」の頭文字をとった略で、日本語では「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」などといわれています。
…これまた難しい言葉ですね。
簡単に言うと、GCUはNICUで治療をして状態の安定した赤ちゃんが「退院や退院後の生活に向けて準備をする場所」です。
GCUにいる赤ちゃんは、NICUにいる赤ちゃんよりも重症度は低いので受け持ち人数は赤ちゃん7人に対して看護師1人の体制になっといます。
特徴 | 受け持ち人数 | |
---|---|---|
NICU(Neonatal Intensive Care Unit) | 何らかの理由で治療が必要な赤ちゃんに対して24時間体制で高度医療を提供する「赤ちゃん専用の集中治療室」 | 3人 |
GCU(Growing Care Unit) | NICUで治療をして状態の安定した赤ちゃんが「退院や退院後の生活に向けて準備をする場所」 | 7人 |
NICUに入院する赤ちゃんの特徴は?
元気に産まれた赤ちゃんの場合は、退院するまでは新生児室にいますよね。
では、NICUにはどんな赤ちゃんが入院するのか?について、説明していきます。
早産・低出生体重児の赤ちゃん
早産・低出生体重児の赤ちゃんは、NICUで管理が必要な事が多く入院対象になります。

早産って?
出産は、妊娠37週からが正期産です。
しかし中には、36週未満で産まれてしまう赤ちゃんがいます。
赤ちゃんが正期産より早く産まれしまう事を「早産」といいます。

新生児仮死って?
出生時の体重が2500g以下の赤ちゃんを「低出生体重児」といいます。
低出生体重児は体重で以下のようにさらに細かく分類されています。
低出生体重児 | 出生体重2500g未満 |
---|---|
極低出生体重児 | 出生体重1500g未満 |
超低出生体重児 | 出生体重1000g未満 |
新生児仮死・呼吸障害の赤ちゃん
新生児仮死・呼吸障害のある赤ちゃんは、NICUで管理が必要な場合が多く入院対象になります。

新生児仮死って?
赤ちゃんはお母さんのお腹から出ると、大声で泣いて肺の中に溜まっている羊水を吐き出し肺呼吸を始めます。
しかしこの時、上手く口や鼻からの肺呼吸に切り替えることが出来ない場合があります。
赤ちゃんが自発的に呼吸出来なかった状態の事を「新生児仮死」といいます。

呼吸障害って?
新生児仮死などで赤ちゃんが自発的に呼吸が出来ない状態の事を「呼吸障害」といいます。
心臓に奇形がある赤ちゃん
妊婦検診や出産後に、心室中隔欠損などの心臓に奇形が見つかった赤ちゃんは、NICUで管理が必要な場合が多く入院対象になります。

心室中隔欠損って?
赤ちゃんに多い心臓の奇形に「心室中隔欠損」があります。
心臓には4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)があり、右心室と左心室の間を隔てる筋肉の壁のことを心室中隔といいます。
心室中隔欠損とは、その筋肉の壁が欠損している状態の事をいいます。
奇形がある赤ちゃん
口唇口蓋裂などの奇形がある赤ちゃんは、NICUで管理が必要な場合が多く入院対象になります。

口唇口蓋裂って?

出典:Wikipedia
赤ちゃんの奇形で多い奇形に「口唇口蓋裂」があります。
口唇口蓋裂とは、唇や上あごに割れ目が残って産まれてしまう状態の事をいいます。
先天性の病気疑いの赤ちゃん
染色体異常など先天性の病気疑いのある赤ちゃんは、NICUで管理が必要な事が多く入院対象になります。

染色体異常って?

出典:Wikipedia
赤ちゃんの先天性の病気で多いのは「染色体異常」です。
染色体異常とは、通常46本のはずが1本多い・少ないなど数の異常があったり、染色体の一部分が欠けてしまうなどの異常がある病気の事をいいます。
染色体異常で有名なのは「ダウン症」「18トリソミー」などがあります。
妊婦検診を受けず産まれた赤ちゃん
妊婦検診を受けていないお母さんから産まれた赤ちゃんは、NICUで管理が必要な事が多く入院対象になります。
妊婦検診を受けていないお母さんから産まれた赤ちゃんは、妊娠何週なのか?赤ちゃんは元気に育っているのか?などが全くわからない状態です。
感染症の疑いがある赤ちゃん
感染症の疑いがある赤ちゃんは、NICUで管理が必要な事が多く入院対象になります。
破水後24時間以内に分娩されない場合や、妊婦検診でお母さんがGBS保菌者だった場合などは赤ちゃんには感染症の危険性があります。
NICU看護師の仕事内容は?
NICUの仕事内容はどんな感じなのか?
「NICU看護師の役割」と「NICUの1日の流れ」に分けて、説明していきます。
NICU看護師の役割
NICU看護師には、「新生児のケア」「家族のケア」「退院指導」「退院後のフォロー」の4つの大きな役割があります。
新生児のケア
NICU看護師の役割の中でもNo.1といえるのが新生児のケアです。
NICUに入院が必要な赤ちゃんは、元気に産まれた赤ちゃんよりも未熟な状態で産まれてくる事が多く慎重にケアをする必要があります。
家族のケア
家族のケアもNICU看護師の大切な役割です。
産まれた赤ちゃんがNICUに入院になってしまった時、お母さんやお父さんは不安でいっぱいですよね。
家族の不安を軽減するために、連絡ノートを作って赤ちゃんの様子がわかるようにしたりします。
退院指導
赤ちゃんの退院が近くなると、退院後の生活に備えて退院指導をするのもNICU看護師の大切な役割です。
退院指導には育児指導など一般的な指導の他に、在宅で酸素の管理が必要な場合は個別指導などを行います。
退院後のフォロー
退院後のフォローも、NICU看護師の大切な人役割です。
NICUに入院になった赤ちゃんのご両親の中には、様々な事情を抱えている事もあります。
退院後に困った事があった時に、サポート出来るようにします。
NICUの1日の流れ
NICUの1日の流れを日勤の場合で説明していきます。
8:30~ | 申し送り・カンファレンス |
---|---|
9:00~ | 受け持ち赤ちゃんのケア |
|
|
11:30~13:30 | 交替で1時間休憩 |
13:30~ | 受け持ち赤ちゃんのケア |
|
|
17:00~ | 申し送り・勤務終了 |
NICUの受け持ち人数は赤ちゃん3人に対して看護師1人の体制なので、入院や急変がなければ比較的落ち着いて仕事をする事が出来ます。
GCUの場合も1日の流れはNICUとあまり変わりませんが、受け持ち人数が赤ちゃん7人に対して看護師1人になるので忙しくなります。
ちなみに…私の働いていた病院では2交代勤務制で
日勤A 8:30 ~ 17:00
日勤B 8:30 ~ 20:45
夜勤 20:15 ~ 09:00
という勤務になっていました。
大学病院で総合周産期母子医療センターだったので、いつもバタバタしていて結構忙しかったです。
NICUで働くメリット・デメリット
NICUで働く看護師にはどんなメリット・デメリットがあるのか?
それぞれ説明していきます。
NICUのメリット
メリット1.人工呼吸器の管理に強くなる
赤ちゃんの場合、挿管チューブにはカフがなく挿入の長さも数センチと短いため、大人よりも繊細な管理が必要です。
新生児の人工呼吸器管理が出来るようになると、成人の人工呼吸器管理は楽に感じます。
メリット2.観察力・アセスメント力が高くなる
赤ちゃんは言葉を話す事が出来ませんが、表情や仕草・バイタルなどで様々なサインを出して体調の変化を教えてくれます。
赤ちゃんの出す小さなサインを見逃さないようにするには、観察力が必要になります。
また、そのサインが何を意味しているのか?アセスメントする力も必要になります。
メリット3.体力面での負担が少ない
一般病棟と違い、NICUはワンフロアであちこち移動する事はありません。
また、赤ちゃんも小さくて軽いので、ケアをする時の体力面での負担は少ないです。
メリット4.自分の子育てに役立つ
NICUで働いていると、赤ちゃんの事に関してはとても詳しくなります。
NICUで身に付いた知識や技術は、自分の子育ての際にとても役に立ちます。
NICUのデメリット
デメリット1.基本的な看護技術は身に付かない
NICUでは、採血や点滴のキープなどは医師が行います。
そのためNICU看護師は採血や点滴のキープをする機会がなく、基本的な看護技術は身に付きません。
デメリット2.プレッシャーがすごい
NICUの仕事は繊細さが求められるので、ほんのちょっとのズレが大きな事故に繋がる事があります。
そのため精神的プレッシャーはすごく、ストレスになる事もあります。
デメリット3.赤ちゃんの死に向き合う事がある
NICUに入院した赤ちゃんの中には残念ながら亡くなってしまう子もいます。
NICUで働いている以上、赤ちゃんの死と向き合わなければいけない事もあります。
NICU看護師には向き・不向きがある!?
NICU看護師には向き・不向きがあり、誰でもNICU看護師にはなれるわけではありません。
では、どんな人がNICU看護師に向いているのか?
また、どんな人がNICU看護師に向いていないのか?
それぞれ説明していきます。
NICU看護師に向いてる人
赤ちゃんが好きな人
これは、NICU看護師になりたい人の絶対条件ともいえます。
NICUに入院する赤ちゃんは、泣いた事がきっかけになり症状が悪化して急変してしまう事があるので泣かせるのは厳禁です。
泣かせないようにするには、長時間抱っこが必要だったり根気強くあやさなければならず、赤ちゃんが好きでなければ出来る行動ではありません。
勉強するのが好きな人
赤ちゃんをケアするには、アセスメント力が重要で解剖生理や病態もしっかり理解していなければなりません。
赤ちゃんは大人と違い、薬の副作用などもダイレクトに影響を受けるので「知らなかった」では済まされない事が多く、専門的な知識が必要不可欠です。
几帳面・丁寧な人
NICUの仕事は繊細さが求めらます。
赤ちゃんに負担の少ないケアをする上では、細かい作業が出来る必要があります。
メンタルの強い人
NICUでは赤ちゃんの死と向き合う事があったり、常に繊細さを求められるので精神的プレッシャーがかなりあります。
それに耐えられるメンタルの強さは、必要不可欠です。
NICU看護師に向いてない人
基本的には向いている人の逆になりますが・・・。
赤ちゃんが苦手な人
赤ちゃんが苦手な人は、まずNICU看護師には向いていません。
勉強するのが嫌いな人
NICUで働くには専門的な知識の勉強が必要不可欠なため、勉強するのが嫌いな人はNICU看護師には向いていません。
ガサツ・適当な人
看護師の基本としてガサツで適当はダメな事ですよね。
赤ちゃんの場合、ガサツで適当な看護は赤ちゃんの急変や死に直結します。
そのため、何をやるのもガサツで適当な人はNICU看護師には向いていません。
メンタルが弱い人
赤ちゃんの死と向き合う事があったり、常に繊細さを求められるNICUは精神的プレッシャーが大きいため、それに耐えられないメンタルの弱い人はNICU看護師には向いていません。
まとめ
元NICU看護師がNICUの仕事内容やどんな人が向いているのか?
などなど、NICUについて詳しく説明していきましたが…いかがでしたか?
NICUについて、この記事が参考になりましたら幸いです。
NICUに配属になってこれから頑張るという方、頑張ってください!
そしてぜひともNICU看護師になりたい!NICU看護師になりたくなった!という方、
NICUはかなり特殊な科になりますが、やりがいがあり貴重な経験をたくさん出来る魅力的な科でもあります。
ぜひなってください!!!
NICU看護師として働くあなたを楽しみに期待しています。
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