突然ですが、「機能訓練指導員」という職種名を聞いたことはありますか?
病院ではあまり聞きなれない職種だと思います。
介護保険法によって定められている職種のひとつで、介護の現場ではよく耳にすることがあります。
「機能訓練」と聞くと、理学療法士や作業療法士など、リハビリテーション職が就く役割だと思われがちですが、実は看護師でも兼務できる役割であり、看護師が兼務することがとても多いのです。
機能訓練指導員を担うことで、手当や給料アップにもつながります!
それでは「機能訓練指導員」の仕事内容、通常の看護業務との違い、気になるお給料についてご紹介していきます!
機能訓練指導員の仕事内容について
機能訓練指導員の役割とは?
「機能訓練指導員」とは、介護保険法によって定められている役割のひとつです。
介護施設や事業所では、機能訓練指導員の配置が義務付けられています。
介護施設を利用する人は、加齢や病気により、日常生活を送ることが難しくなってきている方が多くいますよね。
そのため、「機能訓練指導員」には、介護施設や通所サービスの利用者一人ひとりの心身の状態に合わせて機能訓練を行い、できる限り自分で身の回りのことができるように支援していく役割があります。
在宅でも介護施設内でも、高齢者が自分で生活できる能力を保てるようにサポートすることが必要ですので、機能訓練指導員の需要はどんどん高まっています。
機能訓練指導員の仕事内容とは?
「機能訓練指導員」の仕事は、まず利用者の生活環境の確認や身体機能の評価から行います。
利用者やその家族の意向を伺い、どのような訓練が必要なのかを判断し、機能訓練計画表を作成します。機能訓練はこの計画表に沿って行われます。
日常生活を送るために必要な機能を回復、もしくは現状維持のために、利用者1人1人に合わせた訓練を行います。具体的には歩行訓練や筋力トレーニングなどです。
他のスタッフにも同じケアをしてもらえるように、提案したり指導する役割もあります。
また、機能訓練計画表は3ヶ月ごとに見直し、その都度、経過や状態に合わせた機能訓練計画表を作成します。
機能訓練指導員になるためには?
「機能訓練指導員」という職種はあくまでその役割の名称であるため、「機能訓練指導員」という資格があるわけではありません。
機能訓練指導員として働くためには、次の資格のいずれかを持っていることが条件となります。
- 看護師または准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
これらの資格を持っていれば、デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設において、「機能訓練指導員」として携わることができます。
その中でも、実際に機能訓練指導員として働いている職種の多くは看護師が多いようです。
厚生労働省(平成27年度)の調査によると、通所介護(デイサービス)の機能訓練指導員のうち、看護師は「65.6%」となっています。
介護現場での通常の看護業務とはどう違うの?
デイサービスなどでは、看護師兼「機能訓練指導員」として兼務するケースも多くあります。
機能訓練指導員として働く看護師は、利用者のケアやバイタルチェックをしながら、疾患別に病態をアセスメントして、健康管理とリスク管理を行うことができます。
さらに、利用者に必要な機能訓練を見極め、計画書の作成と実施を行うことが求められます。
しかし、リハビリ病院や整形外科病棟の勤務経験がなければ、運動プログラムを専門的に学ぶ機会は少ないため、実際は介護施設に勤務し始めてから学んでいる看護師が多いようです。
機能訓練指導員としての看護師の役割とは?
看護業務をしながら機能訓練を実施し、計画書を作成する看護師には、利用者の健康状態と機能的な部分を総合したアセスメントを行ってケアを考える能力が必要です。
さらに、他職種が集まった介護スタッフにケアの指導・教育を行い、意見や評価を取りまとめるリーダーシップが求められます。
看護師同士、介護士との人間関係はどう?
介護の現場では看護師、介護士、理学療法士、作業療法士、栄養士、ヘルパー…等、様々な職種が働いています。
それぞれの職種で役割や仕事内容も異なるため、それぞれの職種の役割を理解する必要があります。
情報収集と連携をしっかりしていかなければ、利用者の健康状態の把握やケアの統一ができず、支障が出ることがあります。
特に、看護師同士と介護士との連携は重要です。
介護の現場では他職種が働いているため連携が大切になる
介護施設で働く看護師の数は介護報酬上で定められているので、スタッフは介護士が大半を占める場合もあります。
利用者に合わせた機能訓練を計画し、実施するためには、利用者の健康状態の管理を行う看護師同士での情報共有と、利用者の日常生活のケアを総合的に行う介護士とが密に連携することが必要となります。
スタッフは皆それを理解しており、普段からのコミュニケーションを大切にしているので、仕事上の人間関係は良く見えます。
しかし、女性特有のいざこざや、性格や考え方が合わないといった不一致もあり、うまくコミュニケ―ションを取る事ができない事も多いです。
実際、看護師兼機能訓練指導員として勤務している人の中にも、職場の人間関係で悩んでいる方は多く、人間関係に関する事が原因で転職をする機能訓練指導員の方も多いようです。
機能訓練指導員の職場は介護の現場であるため、医療の現場から転職をした際に、介護の仕事の大変さや医療現場とのギャップに悩むこともあるようです。
仕事に慣れ、利用者さんとの関わりにやりがいを感じ、人間関係の構築ができていき、仕事に楽しみを持てるようになり、機能訓練指導員を兼務しながら勤めている看護師も多くいます。
業務体系はどういったものになる?具体的な給料はどれくらい?
機能訓練指導員の業務体系は?
機能訓練指導員が活躍する場としては、次の施設が主となります。
- デイサービス(通所介護施設)
- ショートステイ(短期入所生活介護施設)
- 特別養護老人ホーム など
これらの事業所では、「機能訓練指導員を1名以上配置すること」と定められています。
そこで、上記のような施設に勤務する看護師が兼務して、機能訓練指導員としての役割を担っていることが多いです。
ただし介護報酬上は、「兼務は可能だが、同時に複数の職種に従事することはできない為、職種ごとに勤務時間を区別しなければならない」ようです。
つまり、看護師として勤務している時間帯は、機能訓練指導員としては勤務できず。
機能訓練指導員として勤務の時間帯に、看護師として勤務できないことになります。
機能訓練指導員の給与はどのくらい?
2016年の厚生労働省による調査によると、介護事業所で働く機能訓練指導員の平均給与は約34万円となっています。
その中で、機能訓練指導員は、看護師・理学療法士・作業療法士などの国家資格取得者で構成されているため、持っている資格によって、給与の差はあると考えられますが
機能訓練指導員の平均給料としては
年収 | 300万円〜400万円 |
---|---|
月収 | 17万円〜22万円 |
時給 | 1200円〜1800円 |
となっています。
特に、看護師は、看護業務と機能訓練指導員の役割を兼務することができるため、他の国家資格取得者に比べて、給料が高くなっているようです。
看護師には資格手当として、月に3万~5万円ほど上乗せしている施設もあります。
非常勤・パートで働く機能訓練指導員の給料は?
厚生労働省の調査によると、デイサービスなどの通所介護の機能訓練指導員のうち、非常勤は「56.6%」と過半数を超えていることがわかっています。
これは、デイサービスなどの通所介護では、看護師が機能訓練指導員として兼務しているだけでなく、配置基準の最低限の2時間~短時間勤務が可能であるためと考えられます。
そこで、非常勤・パートの機能訓練指導員の平均給料を見ると
看護師 | 時給1500円~2000円 |
---|---|
理学療法士、作業療法士 | 時給1400円~1600円 |
柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師 | 時給1200円~1500円 |
となっており、看護師が機能訓練指導員として働く場合は、非常勤であっても他の職種よりも時給が高くなっていることが分かります。
まとめると、看護師兼機能訓練指導員をやってみるのもアリでしょう!
「機能訓練指導員」の役割と、通常の看護業務との違い、お給料などを紹介してきました。
「機能訓練指導員」は、今後、高齢化社会が進むにつれ、入所施設や通所介護などで、より一層ニーズが高まる役割と言えます。
特に看護師は、機能訓練指導員を兼務することができるので、未経験でも役割を担うように求められることが多いことでしょう。
看護師と機能訓練指導員を兼務することにより
- 看護業務として利用者のケアやバイタルチェックをしながら、疾患別に病態をアセスメントして、健康管理とリスク管理を行う。
- 利用者に必要な機能訓練を見極め、機能訓練計画書の作成と実施を行うこと
- 他職種が集まった介護スタッフにケアの指導・教育を行い、意見や評価を取りまとめるリーダーシップを発揮する。
ことが求められるため、初めて役割を担う場合はハードルが高く感じるかもしれません。
しかし、実際は介護施設に勤務し始めてから、やり方を学んでいる看護師が多いようですので、周囲の人や先輩に聞きながら、経験を積み重ねていくと良いでしょう。
看護師は、看護業務と機能訓練指導員の役割を兼務することができるため、他の国家資格取得者に比べて、給料が高くなっているようですので、給料アップにも繋がります!
看護師兼機能訓練指導員として、利用者に合わせた機能訓練を計画し実施するためには、利用者の健康状態の管理を行う看護師同士での情報共有と、利用者の日常生活のケアを総合的に行う介護士とが密に連携することが必要となります。
そのため、職種の分け隔てなくコミュニケーションを行って、人間関係が良いものとなるよう意識しておきたいですね。
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